新型コロナウイルス感染拡大が日本経済に及ぼす影響、リーマン・ショックとは異なる「ヒト」「モノ」「カネ」への対応
帝国データバンクは2020年3月25日、「新型コロナウイルス感染拡大が日本経済に及ぼす影響」を公表しました。
新型コロナウイルス感染症の拡大は、企業の経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」に大きなダメージを与え、特に、初期段階で「ヒト」「モノ」という実物経済に影響を与え、さらに「カネ」へと波及しています。
「カネ」から「ヒト」「モノ」に広がったリーマン・ショックとは異なる動きとなっています。
リーマン・ショックの収束には、「ヒト」と「モノ」への対応を進めつつ、「カネ」の解決策として金融システムの強化・効率化が図られたこともあり、その後、フィンテックを含む新しい金融サービスなどが多く台頭しています。
新型コロナウイルスでは、資金繰りや金融不安など「カネ」への対応を進めつつ、「ヒト」と「モノ」の解決を図る必要があるとし、例えば、テレワークや移動、住宅などを含めた働き方改革、通信販売や製造の国内回帰など物流や生産の見直しなどが進むと予測しています。
出所:帝国データバンク 2020.3
新型コロナウイルスでは、資金繰りや金融不安など「カネ」への対応を進めつつ、「ヒト」と「モノ」の解決を図る必要があると、収束後は、「ヒト」や「モノ」への対応がビジネスチャンスにつながる可能性があると予測しています。
2020年3月(速報値)の売上高は、企業の半数超が減少となっています。特に、旅館・ホテルや家具類小売、飲食店、娯楽サービスなどで売り上げが前年同月より減少している企業が多くなっています。
一方、企業の約 2 割は 3 月の売上高が増加しています。特に、電気通信サービスやソフトウェア業界、IT 向け人材派遣などで、売上高の増加を見込む企業が多くなっているとしています。
出所:帝国データバンク 2020.3
新型コロナウイルスで業績への影響が避けられないなかでも、収束後の社会変化を見据え、ビジネスチャンスを捉えようとする動きも出てくるだろうと予測しています。
新型コロナウイルスの世界的な拡大は、企業活動に大きな影響を与えています。その一方で、2008 年の リーマン・ショック後に起こった変化を捉えた企業が大きく成長を遂げたように、新型コロナウイルス後に訪れる社会変化を今から想定しておくことも、企業の生き残りに重要な条件となると指摘しています。
痛みは伴いますが、乗り越えた際にには、大きく世界観が変わり、社会やビジネスの大きな変革の機会をもたらすのかもしれません。