付加価値創出に苦戦する日本、急がれる戦後の「日本型雇用システム」からのアップデート
経済産業省は2019年8月9日、「第25回 産業構造審議会総会」を開催し、経済産業政策の重点案やデジタル経済進展への対応などについて、議論・検討を行っています。
今回は、既存秩序の変容と経済産業政策の方向性の資料の中から、国力が低下する中、付加価値の創出に苦戦する中においての労働慣行の転換について紹介をしたいと思います。
かつて世界シェアを握っていた多くの製品で、他国企業の後塵を拝しています。敗因 は、生産工程のモジュール化が進み、コスト競争、投資競争に突入した際、スピード感を持って対応できず、これらに代わって日本に富を引きつける新たな価値を生み出せない状況が続いています。
日本は大企業に「人・モノ・カネ」が集中するも、成長できずに、企業年齢が古いほど 稼ぐ力も低下しています。重要産業分野でも、事業の担い手そのものが消失する危機に直面しています。
日本企業の研究開発は根強い自前主義。2000年代を通じて、オープンイノベー ションの必要性が叫ばれ続けるも、企業の現場では外部との連携は進まず。非連続のイノベーションに向けたR&Dも限定的となっている点も指摘されています。
米国や欧州企業は、高付加価値化の戦いに移行するも、日本企業は価格を上げられ るだけの価値を生み出せず、高付加価値競争に出遅れが目立っています。
こういった背景の中、日本は労働慣行の転換が急がれています。
経済産業省では、日本型雇用システムをアップデートするため、
①兼業・副業等の推進
②中途採用の拡大・新卒 一括採用の見直し
③ハイブリッド型雇用(メンバーシップ型+ジョブ型)
への転換を図ることで、終身雇用制度・年功序列賃金の見直しを進める必要性を示しています。
戦後の時代から続いたモデルを、外部環境の変化にあわせて、日本型雇用システムをアップデート、もっというと、日本型雇用システムからの脱却による、労働慣行の転換が急がれています。
出所:「第25回 産業構造審議会総会 2019.8