第四次産業革命に向けた横断的制度整備について 〜経産省報告資料から
経済産業省は2016年9月15日、「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書」の取りまとめを公表しました。
経産省では、急速に進展するデジタル経済に対応するため、「競争政策」、「データ利活用・保護」、「知的財産」という3つの制度のありかたなどについて、「第四次産業革命に向けた横断的制度研究会」を開催し、検討を進めてきています。
本研究会では、
①オンライン関連事業に関する公正取引委員会との共同ヒアリング調査の実施 (約20社へヒアリング)
②欧米競争当局等への調査出張
③有識者からのプレゼン
などを踏まえて、現状と課題の整理を行い、今後の対応等について検討を行い、今回報告書を公表しています。
出所:経産省 第四次産業革命に向けた横断的制度研究会報告書 2016.9.15
デジタルプラットフォーム/データ利活用に係る競争環境については、デジタルプラットフォームには利用者との間で強固なネットワークが構築されやすいなどの特性があり、囲いこみと独占が生じやすい状況にあるとしています。また、デジタルプラットフォームの取引実態では、スマホOSは2社による寡占市場で、スマホのアプリは、OS事業者が運営するアプリストアから入手するため、OS事業者=ストア事業者がアプリ提供者に優位する市場になっているとしています。
データ利活用・保護/知的財産については、データの利活用により、新たなビジネスやより高品質なサービスが生まれ、国民生活の向上に繋がる一方で、保護と活用とのバランスが重要であるとしています。
本報告書では、今後の取り組みとして、
・取引実態の把握をさらに進め、類型化等の整理を行い、積極的かつ迅速に対応。なお、独禁法違反があれば、公取委は厳正・的確に法執行。
・公正な競争環境を確保しイノベーションを促進するための政策的対応について、産業振興の観点から、研究会等で検討。
・個人情報の匿名加工作成マニュアルを策定するとともに、個人情報保護委員会の定める基準に沿った分野別の指針の策定を促す。
・知的財産システムの在り方に関しての検討
ー データの利活用促進に向けた制度(データベース等や関連技術に係る保護制度の検討、データの管理・契約実態の調査等)
- AI、IoTの実装に向けた知的財産の協調利用の促進(標準必須特許(標準規格の実施に当たり必須となる特許)や知財トロール(保有する権利を悪意をもって濫用する者)への対応等)
などをあげています。