日本政府のデータカタログサイト(試行版)「data.go.jp」の閉鎖に伴う仮サイト「datago.jp」の開設と今後
日本政府のデータカタログサイト (試行版)が閉鎖したのを受けて2014年4月9日、データカタログ部分の機能を提供する仮サイト「datago.jp」をLinked Open Data Initiative、Code for Japan、Open Knowledge Foundation Japanの3団体によるプロジェクト「Data for Japan」の有志により開設・運営を行っています。
本サイトは本家の閉鎖に伴う暫定的な措置のため、本家サイトである政府のデータカタログサイトの再開後には閉鎖する予定となっています。
「政府のオープンデータカタログサイト、正式版開設に向け試行版が休止(ZDNet 2014.4.5)」の記事によると、
内閣官房 IT総合戦略室によると、data.go.jpは試行版であり、「調査研究」名目で公開されたものという。2013年度予算で作成されたもののため、運用や更新にかかる予算をこの4月の段階で執行するのが難しかったと説明した。
と書かれているように、現在、一時的に閉鎖となっているものの、1~2カ月程度での復旧を目指しているようです。
今回の試行サイトの閉鎖に関しては、4月8日の山本大臣閣議後記者会見でも言及されており、継続運用の調達は会計担当が止めているといった趣旨のコメントをされています。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg9647.html
これまでの政府のオープンデータ関連政策およびデータカタログ(試行版)の開設の背景などについて少し整理をしてみたいと思います。
政府は、持続的な成長と発展に向けた戦略の柱として、特にオープンデータを新たなIT戦略のエンジンの一つに位置づけています。
政府の高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)は2012年7月4日、オープンガバメントを確立するため「電子行政オープンデータ戦略」を策定し、同戦略に基づき公共データ活用の推進と環境整備を実施することを公表しました。。
2013年6月14日に閣議決定した『 「世界最先端IT国家創造」宣言』では、2014年度および2015年度の2年間をオープンデータ推進のための集中取り組み期間と位置付け、2015年度末には、ほかの先進国と同水準の公開内容の実現を目指しています。
そして、政府は2013年12月20日、各府省の21機関が保有する約9400種類のデータを各データのタイトルや作成者、内容やデータ形式、作成日などの情報で横断的に検索できる「データカタログサイト」の試行版「data.go.jp」を開設しました。
http://data.go.jp/ データカタログサイト試行版 2014年2月24日当時
本サイトでは、「白書」「防災・減災情報」「地理空間情報」「人の移動に関する情報」「予算・決算・調達情報(入札結果など)」の5分野を重点分野とし、公開や二次利用などに問題がないデータから優先して掲載していました。
最もデータセット数が多いのは「予算・決算・調達情報(入札結果など)」の分野の全体の3分の1を占める約3000を占めていました。データ形式はPDFが4891件と最も多くなっており、HTMLでの公開は4419件、XMLは132件にとなっていました。
政府が著作権を保有しているデータについて、「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」を適用し、保有者のクレジットなどを表示すれば、データの自由な改変や営利目的での二次利用を許可していました。
政府は2014年度から「データカタログサイト」の本格運用を実施する計画で、2014年度および2015年度の2年間をオープンデータ推進のための集中取り組み期間と位置付けています。政府では、「データカタログサイト」の本格運用に向けて、サイトのユーザビリティ向上や検索機能、APIの公開、英語対応などの検討を進めるとともに、2015年度末には、ほかの先進国と同水準の公開内容を実現し、世界最高水準の公共データ1万以上のデータセットをオープンデータとしての公開を目指しています。
日本におけるオープンデータに関する進捗度は、世界の動きから見ても遅れが指摘されており、今回のデータカタログサイトの試行版からの発展が期待されていました。今回の閉鎖は一時的なものであるとはいえ、「電子行政オープンデータ戦略」などで示されていたように、世界最高水準のデータカタログサイトを開設し、それらのデータを活用することで、行政の見える化や行政サービスの向上、ビジネスへの貢献などにつなげていくための一連のプロセスにおいて、不安要素を与えたことは否めません。
今回の有志によるデータカタログの仮サイトの開設・運営は、今後のオープンデータカタログサイトの開設と運営、そして、今後のオープンデータ政策において、重要なメッセージを投げかけたといえるのかもしれません。