2020年東京オリンピック開催に向けた世界最先端のIT環境を
2020年のオリンピックの開催地が東京に決まりました。開催までの7年間、震災復興、福島原発、財政再建、社会保障、社会インフラ整備、少子高齢化など、オリンピックの成功とともに、2020年を一つの節目として、大きな宿題がつきつけられたことになります。
オリンピック開催に伴い、課題先進国である日本に対する世界への注目が高まっていくことは間違いなく、この問題の大きさを再認識し、少しでも前に進むための行動をしていくことの重要性を感じています。
これから取り組んでいくべきことは多岐に渡りますが、まずは、私自身が関わっているIT分野について、整理をしてみたいと思います。
IT総合戦略本部は2013年6月14日、新たなIT戦略となる「世界最先端 IT 国家創造宣言」を閣議決定しました。
世界最高水準のIT利活用社会の実現に向けて、2020年での実現目標を設定し、工程表(ロードマップ)を策定しています。
2020年はオリンピックを通じて、この日本の先端的なIT環境を構築し、世界に発信していくための重要な機会になるといえるでしょう。
政府のIT戦略では、オリンピック開催を前提とした目標設定というのは特に設けられていないと思われますが、2020年の開催とともに、オリンピックを想定したIT環境を整備していく必要があります。
ITインフラ環境整備
まずは、東京におけるITインフラ環境です。特に、日本は世界有数のブロードバンド大国ではありますが、2020年は、スマートフォンの利用者が急激に増大し、外出先から動画コンテンツを閲覧する機会は格段に増えており、オリンピックに伴い、様々なコンテンツが飛び交うことになれば、無線環境も含めたインフラ環境の再整備が必要となるでしょう。
世界有数のコンテンツアーカイブ
オリンピック開催に伴い、オリンピックというキラーコンテンツを東京から世界に向けて発信できます。そのため、東京から世界に情報を発信する、世界から日本にアクセスするという環境を整備していく必要があります。そのアクセス数は2020年には、欧米各国だけでなく、中国やインドなどアジア諸国から相当数のアクセスが想定されます。
こういった状況に伴い、データセンターの新設や増設とともに、グーグルやフェイスブックといった大手のコンテンツの事業者のデータセンターを優遇策を含めた政策的に国内に誘致をし、日本国内を世界有数のコンテンツアーカイブの拠点としていくための取り組みも進めていくことが重要になると考えています。
海外に向けた情報公開(オープンデータ)の推進
福島の汚染水問題に代表されるように、日本から世界に向けての情報公開は必ずしも十分な状況ではありません。日本は日本語のならず、多言語で海外に向けて情報公開をしていくことが重要となっていくと考えています。
政府は、公共データの案内や横断的検索を可能とするデータカタログサイトについて2013年度中に試⾏版を⽴ち上げ、2014年度から本格運⽤を実施。2015年度末には、1万以上のデータセットの公開による他の先進国と同⽔準の公開内容を実現することを目指しています。
これらのデータ公開を国内を想定した日本語のみならず、英語などの多言語に対応し、海外からもデータの二次利用可能なデータ公開などのオープンデータにアクセスできる環境を作ってくことが重要となります。たとえば、東京の施設情報や、時刻表や渋滞情報などの交通情報、観光データ、気象情報などを公開し、各国のアプリと連携させることで、各国からの観光やオリンピック見学を快適にできる環境を支援することもできるでしょう。
そのほか、サイバー攻撃対策、データ分析、センサーネットワーク、M2Mネットワーク、放送と通信の融合、ウェラブルコンピューティング、スマートシティ、人工知能(Artificial Intelligence; AI)など、オリンピック開催にともない、IT分野において議論し取り組んでいくべきテーマも多いでしょう。
あらためて折をみて整理をしてみたいと思います。オリンピックの東京開催で自分自身が何ができるかと考えた時、微力ながらIT分野で何か貢献していくことができたらと考えています。