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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

【2011年】ITベンダ各社のクラウドビジネスの方向感(年頭所感より)

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2010年はクラウドが大いに注目された年でした。ITPROの「ITベンダトップ21社トップ年頭所感」では、昨年に続き、経営トップがクラウドコンピューティングというキーワードを多く使っており、引き続きクラウド関連ビジネスに昼食していく方向感が伺えます。

ITベンダ各社が2011年、クラウドビジネスをどのような位置づけをしているのか、記事を参照しながら整理していきたいと考えています。

安心して使えるクラウド基盤を提供」 富士通 山本正已 代表取締役社長

我々は、メインフレーム時代から培った垂直統合の強みを生かしたトラステッドなクラウド基盤を構築し、ビジネスでも安心して利用できるクラウド環境を顧客に提供する。

「モバイルクラウドに好機を見いだす」 NEC 遠藤信博 代表取締役 執行役員社長

クラウドについては、サービス、プラットフォーム、各種センサー、端末を含め、トータルで提供できるのが強み。昨年設置した「クラウド戦略室」が中心となってこれら全ての資産を活用し、One NECとして顧客に最適なソリューションを創り、グローバルに提供していく。(中略)モバイルクラウドサービスの広がりに注目している。(中略)この機会をとらえ、アンドロイド端末「LifeTouch」などによる新サービスの開発に注力する。

「社会イノベーション事業に総力結集」 日立製作所 中西宏明 代表執行役 執行役社長

急拡大を続けるクラウド市場においては、高性能なプラットフォーム製品と独自仮想化技術、グループの幅広い技術を発展、融合させ、高信頼なクラウドサービス基盤をより多くの顧客に提供する。

「企業のスマート化を支援」 日本IBM 橋本孝之 代表取締役社長

クラウドについては、グローバル共通のパブリッククラウド基盤を日本に構築し、世界中どこでも均一の料金・サービスを提供する。業界クラウドサービスも強化する。

「パートナーと連携しクラウド強化」 マイクロソフト 樋口泰行 代表執行役 社長

今年はOffice365の提供をはじめ、クラウドのパワーを引き出すデバイスとしての「Windows Phone」やスレートPCなどの取り組みを含め、パートナーとの連携を基軸に、クラウドに一層注力する。

「革新的な製品を迅速に投入」 日本オラクル 遠藤隆雄 代表執行役社長 CEO

今後は、データベースマシン「Oracle Exadata X2-8」やクラウドマシン「Oracle Exalogic Elastic Cloud」と、従来のデータベース製品やミドルウエア製品を組み合わせ、クラウド環境に対応した製品やソリューションの展開に力を入れる。

「『Instant-on Enterpreise』の実現を支援」 日本ヒューレット・パッカード 小出伸一 代表取締役 社長執行役員

自社所有システムとクラウドサービスの最適な組み合わせを実現する設計、構築サービスも提供していく。

「テクノロジーリーダーを目指す」 EMCジャパン 山野修 代表取締役社長

当社は「The Journey to the Private Cloud」を実践し、顧客のビジネスが飛躍するよう、最適なクラウド化への移行を支援する。

「世界トップ5目指し背水の陣の覚悟」 NTTデータ 山下徹 代表取締役社長

今後は、プライベートとパブリックを組み合わせたハイブリッドクラウドを強化する。SIerならではのクラウドとして、顧客と共にITシステムの活用を考え、将来へのロードマップを描き、高付加価値なサービスの創出に注力する。さらに「Lindacloud」に代表されるようなアプライアンス事業を、グループ全体の戦略商品として強化する。

「次世代プラットフォームを拡大」 野村総合研究所 嶋本正 代表取締役社長

クラウドに関しては、顧客の導入検討が本格化することが予想され、クラウド関連技術には積極的に投資していく。

「基盤の整った中国事業を強化」 ITホールディングス 岡本晋 代表取締役社長

今年は、顧客がクラウドサービスを活用することが当たり前のようになり、受注型からサービス提供型へのパラダイムシフトが加速する年となるだろう。我々は、グループ一体となって、パラダイムシフトの一歩先を歩み続ける。

「『創造』をスローガンに」 伊藤忠テクノソリューションズ 奥田陽一 代表取締役社長

継続して新規クラウドサービスを立ち上げると共に、ビジネスインフラストラクチャーとなるクラウド基盤を新たな技術で提供する。さらに、2012年度開設予定の新データセンター建設に向けた取り組みを加速する。

「『サービスインテグレータ』を目指す」 日本ユニシス 籾井勝人 代表取締役社長

SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型ソリューションの投入や、顧客が安心して利用できるクラウドサービスを提供することによって、新規の市場・顧客を開拓していく。

「社会インフラ事業にも進出」 東芝ソリューション 河井信三 取締役社長

さらにクラウド、IFRS、中堅市場などといった成長分野でも強みを発揮していきたい。

「新サービス創造に注力」CSK 中西毅 代表取締役社長 社長執行役員

独自のハイブリッド・クラウドシステムを整備。顧客の既存システムや、顧客専用のプライベートクラウド、パブリッククラウドそれぞれの長所を融合し、これにBPOサービスも組み合わせて提供する。さらに、CSKグループがこれまでに蓄積してきた多くのアプリケーション資産を、これらのクラウド基盤から提供することで、顧客のビジネス革新に深く貢献することを目指す。

「『技術のNSSOL』を堅持」 新日鉄ソリューションズ 北川三雄 代表取締役社長

我々は“クラウド時代のサービスインテクレータ”として貢献していくと共に、クラウドと様々なコアテクノロジーを組み合わせ、新たなサービスの創造や意思決定の生産性向上を実現する「クラウドプラス」に取り組む。

「キーワードは『波乱』と『勢い』」 アクセンチュア 程近智 代表取締役社長

クラウドやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシングサービス)を活用し、保有する物理的資産を減らし、知の資産をより増やす。「アセットライト」「IP(知的財産)ヘビー」な体質に変えていく必要がある。

まとめ

以上のようにITベンダトップの経営者21社のうち、なんと17社がクラウドをビジネスの柱としてコメントをされています。経営者がクラウドを使わなかったのが、SAPジャパン、シスコシステムズ、キヤノンマーケティングジャパン、プライスウォーターハウスクーパースです。SAPジャパンは「インメモリーコンピューティング」、シスコシステムズは「スマートコネクティッドコミュニティー」というキーワードが印象的でした。

ITベンダ各社が取り上げているクラウドを整理すると、モバイル分野でのクラウドサービス、高信頼・高信頼なクラウドサービス、クラウドインテグレーション、社会インフラとしてのクラウド基盤、などがあげられます。2011年も引続きクラウドの流れが加速化すると想定されますが、2011年は各ITベンダがクラウドビジネスでどの程度収益をあげていくのか、クラウドビジネスの勝者の行方が今年は特に注目されるのではないかと感じています。

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