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スマートグリッドとスマートコミュニティ(NEDO再生可能エネルギー技術白書より)

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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7月22日、初めて「再生可能エネルギー技術白書」の概要を公表しました。

本白書では、太陽光発電や風力発電などの17種類の再生エネルギーと、スマートグリッドの現状と今後の技術開発目標(ロードマップ)などをまとめています。

太陽光や風力に代表される再生可能エネルギーの導入拡大は地球温暖化への対応など、益々重要視されています。また、「エネルギー基本計画」においては、2020年までに再生エネルギーの比率を10%、そして、「新成長戦略」においては、環境関連新規市場を50兆円超を目標値として設定しています。

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ここでは、IT市場に特に関係性の高い、「スマートグリッド」と「スマートコミュニティ」についてフォーカスしてみたいと思います。

スマートグリッドは、以下の図にあるように、

集中型電源、送電系統、分散型電源、エンドユーザーを情報通信ネットワークで統合し、高効率、高品質、高信頼度の電力供給システムを目指すもの

と定義しています。特に情報通信ネットワークでの統合、つまり電力とITの融合はポイントとなるでしょう。

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スマートグリッドでは、様々なビジネスの創出が期待されています。そのため、経済産業省を中心に、研究会などが開催され、推進施策を策定し、実証事業を進めています。新ビジネスにおいては、サービスプロバイダの場合、マネジメントサービスや見える化による広告サービスなどビジネスモデルが期待されています。そして、国際競争力の観点から、スマートグリッドの海外展開も重要となるでしょう。

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スマートグリッドの場合、社会インフラを構築するため、中長期的なロードマップをたて、推進していく必要があります。特に電力の場合は、電力の需給バランスをとるのが大変なため、余剰電力発生時の対応等が課題となります。

また、技術開発目標としては、システム全体としては、2015年頃に既存の電力流通システムに双方向通信インフラを敷設し、送配電ネットワークでは、2020年以降、双方向通信システムを利活用して、分散型電源、需要家も交えた一体型管理へと移行するとしています。需要サイドでは、各家庭に設置されるスマートメーターがポイントとなります。スマートメーターが日本においてどのような機能を持つのか、注目されます。

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そして、スマートグリッドの技術などのエネルギー、交通システム、市民のライフスタイルの転換など、壮大な街づくりがスマートコミュニティです。各国でもスマートシティの取り組みが進んでおり、世界各国においての重要な国家インフラ政策となるでしょう。ここでポイントとなるのは、スマートコミュニティの国際展開であり、標準化への対応が必須となってきます。

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2030年のスマートコミュニティ像は、想像がなかなか難しいのですが、電力は原子力をベースとしつつ、再生可能エネルギーを優先的に活用し、集中電源と分散電源の最適MIXの実現。余剰電力に対してはEV充電やHPなどで需要を創出するとしています。各家庭においては、フルオートメーション型HEMSの実現など、かなり進化をすることになるでしょう。これらの中長期の対応は、エネルギー基本戦略の見直しや成長戦略、そして、スマート・コミュニティアライアンスでの検討を踏まえて改定していくとしています。

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ロードマップの続きですが、特に注目しているのは「送配電ネットワーク」です。スマートインターフェイスの開発や双方向の通信システムインフラの整備は、IT分野でのビジネスとして大きな成長が期待されます。同時に、通信品質やセキュリティへの対応(技術開発)や、通信インターフェイスとプロトコルの標準化への対応も重要となってきます。情報通信分野でこれまで検討されてきたことが、スマートグリッドやスマートコミュニティの分野においても、議論されていくことになるでしょう。

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スマートグリッドとスマートコミュニティは、クラウドコンピューティング以上に非常に大きな枠組の中のキーワードですが、今後数十年間のスパンで見た場合、最も取り組むべきことであり、最も市場の成長が期待される分野でもあります。国際競争力の視点で見た場合においても、最初のスタートが肝心となり、政府の政策や各企業での戦略と戦術が重要となってくるでしょう。

スマートグリッドやスマートコミュニティはあまり専門分野ではないのですが、中長期的に見て非常に重要であると考えていますので、引き続き動向を注視していきたいと考えています。

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