日本のスマートグリッドの大規模実証事業について
経済産業省は11月13日(金)、第一回次世代エネルギー・社会システム協議会を開催しました。
本協議会では、低炭素社会づくりの鍵を握る自然エネルギーの大量導入や民生・運輸対策を進めるにあたって、省エネ・CO2削減と成長戦略の両立する方策を「見える化」することが重要であるととしています。また、そのためには、「次世代エネルギー・社会システム実証事業」を立ち上げ、ITを活用した最新の省エネ・新エネ技術を全国2箇所程度に集中投入するということを明らかにしています。
その実証事業イメージが以下のとおりです。
実証事業実施の背景には、
様々な取り巻く環境の変化があるとし、以下の項目に分けています。
<需要面の変化>
・スマートハウスで快適と省エネを実現
・地区内にEVが走行。充電スタンド設置
・太陽光発電の普及、街灯はLED照明に。
<流通面の変化>
・日本型スマートグリッドの実証
・電気自動車の普及
・充電スタンド・駐車場の整備
・負荷平準化への貢献をエコポイントに
<供給面の変化>
・世界最先端の電力系統安定化
・集中電源と分散電源の両立
・需要家間のエネルギー融通システム
<その他>
・APECを通じて世界に発信
・必要に応じて制度の検証・改正
また、実証事業を実施する5つのねらいとして、
1.新エネ大量導入に伴う系統安定
-自然エネルギーの大幅拡大を睨んだ強靱な電力インフラを整備
2.ITの活用による省エネ・負荷平準化
-ITを活用、快適と省エネを実現する次世代の暮らしのショーケースづくりを
3.「システム」として売り込む成長戦略
-システムとしての海外展開も睨んだ成長戦略の策定
4.標準
-次世代システムに適した標準を早期に作り、世界をリード
5.実証から実現に向けたビジネス環境の整備
-関係省庁(国交省、農水省、文科省等)との連携や自律的ファイナンスの仕組みづくり。関連制度の見直し。
これらの内容を見ると、自然エネルギーやITの活用、そして成長戦略やビジネス環境の整備等、様々なテーマを盛り込んでおり、壮大な実証事業と言えるでしょう。
スマートグリッドは世界規模で大きな動きが出ており、成長分野に位置づけられています。まだまだ詳細は見えていませんが、日本でのこの大規模な実証事業の取り組みが、今後スマートグリッドの市場においてどのような影響を与えていくのか、注目されるところです。