民主党政権の情報通信政策について
民主党連立政権の誕生により、補整予算未執行分の停止や予算の再配分の実施検討など、様々な動きが出てきています。私自身、注目しているのは情報通信政策の今後です。
民主党のマニフェストの中で柱となるのが、
「日本版FCC」の設置
「電波オークション」の制度の導入
です。
日本版FCCとは、米国のFCC(連邦通信委員会)に相当する独立行政委員会を設置し、これまで総務省の所轄となっていた通信と放送の行政を分離し、通信・放送事業者に対して、監視する役割を担います。通信・放送の政策を独立した組織で行うことで、放送に対する恣意的な介入を排除し、国家権力が放送を監督するという矛盾を解消していくことを目指しています。
また、日本版FCCでは、これまでの自前規制から事後規制への転換を重視し、規制緩和の方向に進むことが予想されます。新規事業者の参入とともに、通信と放送の融合がさらに進むことになるでしょう。特に、放送業界においては、事業の転換を余儀なくされ、再編が進むことも可能性としては考えられるでしょう。
続いて、「電波オークション」の制度の導入です。テレビ放送や携帯電話等といった無線通信で利用されている電波の周波数を競争入札を実施し、高額で応札した企業に利用権を与えるというものです。政府は新たな財源を確保できるというメリットと公平性を担保できるという一方で、入札価格が高騰することによって事業者の収益を圧迫する可能性があるという指摘もあり、慎重論も根強く残っています。
電子政府・電子行政に少し目を向けてみましょう。民主党のマニュフェストの中を見ると、電子行政については触れていますが、電子政府そのものには触れていません。「i-Japan戦略2015」の中では、電子私書箱や霞ヶ関クラウド、そして自治体クラウド等の取り組みが目玉の一つとなっていますが、これらの政策についても影響が出てくることが予想されます。
最後に通信インフラについてですが、平成22年中に、「ブロードバンド・ゼロ地域解消計画」を目指していましたが、補正予算の一部執行停止により、離島や山間部等の地域においての実現には黄信号がともり始めています。
まだ、国家戦略局の全貌がわからず、各府省の閣僚も決まっていない状況の中、予想をすることは難しいのですが、子育て手当てや高速道路無料化等に多くの税金をつぎ込むことを考えた場合、情報通信政策への予算に関しては、必ずしもプラスにはならないのではないかと考えています。
アメリカのオバマ大統領はITに精通しており、オープンガバメント政策やフェデラルクラウド等積極的に情報通信政策を推進しています。日本の国際競争力を高めていくためには、情報通信政策は非常に重要であり、民主党が掲げる政策がどの程度プラスに作用するのか、今後の展開が注目されるところです。