メモ:動き始めた各社のクラウド構想@丸レクセミナー
2月26日に開催された丸山先生レクチャーシリーズ第4回の『動き始めた各社のクラウド構想』のセミナーに参加してきました。簡単ではありますが、本セミナーの内容を簡単なメモベースで共有させていただきます。
まず丸山先生の基調講演は、私はエンジニアではないので、技術的な話はあまりついていくことができませんでしたが、クラウド技術の最大の特徴は、安価なサーバをたくさん並べて処理能力を拡大するというスケールアウト(Scale-out)の戦略であるという点は非常に説得力のある言葉であるかと思いました。
グーグルやマイクロソフト等クラウド・コンピューティングを積極的に展開するクラウドサービス提供事業者は世界各地でデータセンターを建設し、大量の安価なPCサーバーを並べて、規模の経済(スケールメリット)を働かせ、安価な価格にユーザ側にサービスを提供しています。
その安定したサービスの背景にあるのが分散処理システムであり、ScalabilityとAvailabilityの両立が重要なポイントになっているというのが大まかに理解できました。
次に日本IBMのクラウドコンピューティング事業推進 部長の三崎氏の「企業におけるクラウド・コンピューティングの活用」の講演をお聞きしました。三崎氏には、私が著書『「クラウド・ビジネス」入門 -世界を変える情報革命』を上梓するにあたって、昨年の10月にいろいろお話をお聞かせていただいたこともあり、非常にすんなりと内容を理解することができました。最近になってクラウドコンピューティングを推進する部署ができ、全社横断的にクラウドビジネスを推進する体制ができており、ユーザからの引き合いも多く非常に多忙な日を送られているようです。
IBMではクラウドの事例を社内の事例と顧客の事例の二つを主に紹介されていました。社内の活用事例ですが、一つは、IBM Research Compute Cloudといって、OS,CPU、ストレージなどが選び、期間やリソースが選択ができ申請する仕組みです。なんと申請後、5分から10分でシステムが提供されるとのことです。基礎研究に役立っているということです。
社内利用の二つ目は、Technology Adoptation Programです。2500人以上のプロジェクトに関する提案者がおり、プロトタイプを作成し製品化するケースも多いようです。その活動をサポートするプログラムでクラウドを適用しているとのことです。クラウド適用後にハードウエアとファイシリティコストが下がっている。R&Dなのでプロジェクトが短期間で実施する場合があるため、セットアップ側するの手間がはぶけるなどの利点があるようです。
社外の利用においては、海外の金融機関でのプロジェクトの開発環境としているようです。
また、IBMはエンタープライズ・クラウドに力をいれていますが、IBM Cloud Computing on Demandのパブリッククラウドの事例も紹介しています。有限会社ライブ様の事例でプラネタリウムのレンダリングにIBMのクラウドを採用しています。一時的なCPUパワーを必要とする、つまり、プラネタリウムを使うときだけ、CPUやサーバーのリソースを使うといった活用をしているようです。
次に日立製作所のクラウドへの取り組みを簡単に紹介したいと思います。日立は、企業情報システムの実運用に求められる高い性能と信頼性を提供するクラウド型サービスを「ビジネス・クラウド」と定義しています。また、「クラウド活用SI」というキーワードも使いクラウドの技術を活用し、お客様に最適なシステム・インテグレーションを提供するというスタンスをとっています。
いずれにしてもお客様の要望に応じて、クラウドの技術を活用しながら、オンプレミス、オフプレミスで提供できる体制をとっているようです。
最後に「楽天ROMAについて」の説明がありました。クラウド技術の1つとして、データへの高速アクセスが可能な、信頼性の高いストレージが注目されており、ROMAもそのジャンルに分類されるソフトウェアとなるということです。技術的な内容はあまり理解することはできませんでしたが、いずれにしても楽天は大規模なオンラインショップの基盤を持っているために、Amazonのように、CPUやストレージ、そしてオンラインショップに必要な基盤をクラウドサービスとして提供するようになれば、かなりインパクトが大きいのではないでしょうか。
いずれにしても、各社のクラウド構想は、自社のこれまでの強みを活かしながら、クラウドの領域に参入してきています。今後クラウド市場がどのように形成されるのか、注目されるところです。