iPhoneのデータ量の携帯電話網への影響
iPhoneが日本市場に登場してから1ヶ月弱が経ちます。iPhoneの登場はガラパゴス化した日本の携帯市場に大きなインパクトを与えるとか、黒船来襲とか様々な表現がされています。
しかし、通信事業者の立場からすると少々心配なところがあります。それは、iPhoneのデータ量です。ソフトバンクの孫社長が、「1台当たりのデータ通信が10倍から20倍くらい増える」と6月25日の株主総会で述べられています。そのため、特定の通信サイトに制限をかける場合があるとしています。
iPhoneがこのまま、日本の市場において、100万台以上の台数が販売されたらどうでしょうか? また、NTTドコモなど他の携帯キャリアからも発売されることも可能性としてはあるようで、さらに販売台数が増えることも考えられます。iPhoneのような端末が増えれば増えるほど、インターネットのトラフィックは増え、携帯電話網のネットワーク設備を増強していかなければならなくなるでしょう。
携帯電話のインターネット普及とiPhoneのオープンなプラットフォームは、モバイルビジネスにおいて大きな進化を及ぼすことが予想されます。一方で、携帯電話事業者は増え続けるトラフィックに対しての対応策を迫られることになるでしょう。
固定インターネットの世界では、以前から「ネットワークの中立性」が議論され、増え続けるトラフィックをプロバイダ側が負担するかユーザ側が負担するか、様々な見地から検証がなされています。
携帯電話においても近い将来、急激に増え続けるインターネットトラフィックに対して「携帯ネットワークの中立性」という議論がされるかもしれません。iPhoneの登場による垂直統合から水平分散へのオープンなビジネスモデルに議論が集中していますが、携帯のインフラ面においても注視していく必要がありそうです。