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知識組替え時代

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日本経済には何が足りないのか?

経済産業省は、7月28日、産業構造審議会基本問題検討小委員会報告書「知識組替えの衝撃~現代の産業構造の変化の本質~」を公表しました。その内容を一部ご紹介しましょう。

日本においては、技術力や、ものづくり、環境技術、コンテンツ等世界に誇る価値や現場力があります。しかしながら、グローバル化/オープン化/知識経済化等の構造変化に対応して、「業種」「市場(国境、地域)」「ものづくり/サービスの境界」等を超えて展開し、組み替え、グローバルなトレンドをつくる力に欠ける。つまり「宝の持ち腐れ」になり、成長力の低下や「二極化」の一因になっていると指摘しています。そのため、ものづくりやチームワークの強みを補完する発想が不可欠としています。

これからを解決するために、社内、業種内、技術分野内といった枠にとらわれず大胆に知識の新結合を起こす「知識組替え」が必要であるとしています。例えば、

  • 業種を超えた技術の融合
  • 地域や国境を超えた新たな顧客層との結合、市場の獲得
  • ものづくりとサービスの融合
  • 異分野のマーケティング情報の融合

また、グローバル化、オープン化のなかで広く関連する知識を製品やサービスに込めることが付加価値を産むことになるとしています。

chishiki 

結果、「業種」「企業」「製品」「市場」の外縁が自在に変化することになり、あわせて、

既存の体系、ビジネスモデル(ピラミッド型産業構造)の大胆な改革が必要であるとしています。

分散した「知識組替え」が付加価値を生むようになるためには、ネットワークを通じた「つながり力」という仕掛けが必要であるとしています。つながりの本質は大きく分けて以下の二つがあるとしています。

  • 既存の枠を超えて新たな可能性を探求し、信頼関係の下で情報交換することのできる「緩やかなつながりにこそ力がある」という点
  • 新結合に成功すると、そこに知識が集まりそこから次のイノベーションが起こる(ポジティブフィードバック)。それが国際的なトレンドを規定し富を生む。という点

です。ネットワークが生み出すポジティブフィードバックが生産性を高めことができ、その生産性概念の再検討が必要であるとしています。

そして、知識組替え時代においての日本にとってのアジアの意味として、議論の本質は、

  1. 既存の企業、業種といった枠を超えてビジネスモデルを転換するなかで、
  2. 知識の組替えと新結合をおこすことが
  3. トレンドや標準を形成することにつながり、競争優位を産むということ。

で、我が国にとってその最初の試金石はアジアであり、なビジネスモデルの転換とアジア政策が表裏一体で進む必要ある。としています。

そして、3つの知識組替え時代の政策群をあげています

  • 第1の政策群:「市場」「業種」「組織」等の壁を超えて知識が交流・共有される仕組みの創出
  • 第2の政策群:既存秩序や縦割りの壁を超える知識組替えの積極的支援
  • 第3の政策群:知識新結合の場としての「地域」「アジア」「会社」の整備・改革

また、知識組替え時代は、業種分類とは異なる切り口で知識を組み替えて結合することが競争力の源泉になるとし、知識結合のパターンとして、

  • グローバル消費知識産
  • グローバル生産知識産業
  • グローバル研究開発知識産業
  • グローバル部材知識産業
  • ローカル知識産業

をあげています。

最後に日本は何を目指すのか? という点について

環境を軸にした知識組替え、ライフスタイル(ジャパンクール)を軸にした知識組替えを考慮した「知識の新結合で目指すクール・ステート」を目指すべきとしています。

「知識組替え」時代、ウィキノミクスにコンセプトが似ているような気もしていますが、日本発の日本語のコンセプトとしては、大変興味深いコンセプトではないかと感じているところです。

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