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YouTubeは規制からクリエーター支援のプラットフォームへ

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YouTubeやニコニコ動画等、動画投稿共有サイトの周辺の動きが活発です。CESにおいてはパナソニックがYouTube対応テレビを発表し、1月24日にはNTTドコモがGoogleとの正式提携を発表し、iモードでYouTubeを閲覧できるようなります。


そして、iPod touchでもYouTubeが閲覧できるように、iPhoneが日本での発売されれば、携帯電話でいつでもどこでもYouTubeにアクセスできるユビキタスな環境ができあがります。


動画投稿のソーシャルコマース化と商用コンテンツへの移行が進む

動画投稿の投稿数の増加に伴い、動画投稿の販売(ソーシャルコマース)やマッシュアップやリミックス等、動画コンテンツの付加価値を高める活動が増えてくると予測されます。さらに、これらの動画コンテンツは単なるCGMという枠組みから、マッシュアップ等のプロセスを経て、商用コンテンツにトランスフォームするという事例も今後増えてくるでしょう。


CGMの著作権への配慮と柔軟な管理

角川グループホールディングスは1月25日、YouTube上で新事業を展開すると発表しました(関連記事)。角川グループはYouTube事業での展開を以下のように述べています。

YouTubeを有益なWeb 2.0型CGMと位置づけ、違法動画の排除を一方的に行なうのではなく、現在の優れた技術をもって著作権に配慮しながら連携。新たなクリエイターの創出や日本の知財を育てていく場とすることに寄与していきたい

現在、YouTubeやニコニコ動画等の動画投稿においての最大の問題は著作権の問題です。今回の角川のコメントでは“著作権に配慮”というコメントがありますが、権利者の許諾が得られれば「認定マーク」入りで公開し、広告収入を権利者に分配する仕組みを導入するようです。


そして、著作権違反のコンテンツもあれば、中にはクリエーターやプロシューマが作成した優秀なオリジナルコンテンツも含まれているでしょう。今後これからのコンテンツはAll Right Reservedのようにがちがちに著作権で保護するのではなく、例えばクリエイティブ・コモンズのようにSome Right Reservedというように柔軟な著作権管理を行い、マッシュアップが進むような仕組みとオープンなプラットフォームな環境を作っていくことも今後重要になっていくでしょう。

 

(参考)日本のコンテンツ政策

CGMの活発な動きがある中で、国のコンテンツ政策の動きはどうでしょうか? 経済産業省は、平成20年度のコンテンツ産業強化予算として17億円の概算要求を行っています。予算の概要は大きく分けて以下の5つです。

  1. 国際コンテンツマーケットの強化 (7.6億円)
  2. 国際共同製作支援 (2億円)
  3. 海外展開支援 (6000万円)
  4. 人材ネットワークの構築 (2.8億円)
  5. 地域との連携 (3.9億円)

経済産業省は、JAPAN国際コンテンツフェスティバルの展開等、日本のコンテンツの国際競争力を高める点に重点を置いているようです。

 

動画投稿は人材育成と新規ビジネスの宝庫

YouTube等の動画投稿は、パソコンでだけでなく、携帯電話やiPhoneそしてテレビ等様々な端末において閲覧が可能になり、YouTubeの閲覧機会が増えるとともに、動画投稿数は拡大の一途をたどるでしょう。その中で、動画コンテンツのマッシュアップやコンテンツ売買等のソーシャルコマース化が進み、埋もれていたCGMが日の目を見ることもあるでしょう。さらに、CGCM(Consumer Generated Commercial Message)というキーワードが注目されているように、企業とタイアップした消費者主導のコマーシャル動画も増えてくることが予想されます。


これらのようにクリエーターやプロシューマ等が自分の主張したい著作権をある程度担保しながら、プロデューサーやコンテンツホルダ等の企業Win-Winの関係を保ちつつ、日本のコンテンツ産業を盛り上げていける安心安全でかつオープンなプラットフォームが今求められてきているのではないかと感じています。


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