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みんなの闘病サイト「オンライフ」が終了してしまいました。残念です。

以前から病気系のブログというのは静かな人気がありました。ひとつにはレコーディング用途として使いやすいということ、もうひとつには同じ悩みを持った人と出会えるということがあります。そうした中でオンライフは注目していたのですが、収益性などの事情があって継続が難しくなったようです。

例えばmixiのような普通のSNSにも病気のコミュニティはあります。ところが現実のつながりを多く持ち込む傾向にあるそういったSNSで病気コミュニティに入るのはSNS上での知り合いに病気であることを宣言するようなものであり、難しい場合もあります。

ならば病人専用のSNSがあればいいのに、ということを以前より思っておりました。ですのでオンライフの成功に期待していましたが、実際のところはここのブログにある通りとなりました。後から考えてみれば闘病記というのは、私個人の想像からすると治ってしまえば振り返りたくなくて中断してしまうし、治らなくて悪くなってしまっても中断してしまうということでなかなか固定ユーザの獲得が難しいのではないかと思います。

もちろん、だからこそ慢性疾患のブロガーが残って苦しい闘病生活を励ましあい乗り切るという方向性があるのかもしれません。しかしそういった病気は数多くないですし、それでいてブログを書ける人というとより一層少なくなってしまうというのが実情であるように思います。かくいう自分も慢性肝炎を患っているわけですがあまり闘病ブログを書く気になったことはありません。一度や二度は書いてもいいかなと思いましたが、同じように慢性肝炎の人が書いているレコーディング的なブログを読んでもさほどおもしろいと思わなかったので実行に至りませんでした。

病気と言って思い出したのがこちらのエントリです。

http://blogs.itmedia.co.jp/newtype/2009/07/post-54cb.html

人は必ず承認を得たいと望んでいる:ニュータイプになろう!:ITmedia オルタナティブ・ブログ via kwout

はてなブックマーク livedoor クリップ Yahoo! ブックマーク

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自分の体調があまりよくなかったときに思ったことなのですが、「病人を励ましてはいけない」という言葉は真理を突いているように思います。

それは病人は自分自身を「病気によって以前の完全な自分から何かが欠けた状態になっている」と考えがちだからです。その状態の人に「がんばってね。元気になってね」というのはその人が今以前と比較して悪い状態にあることを他人の立場から追認するものです。となるともしその病気を乗り切ったとしてもプラスマイナスゼロのとんとんで、乗り切れずに何らかの後遺症が生じたような場合、以前の自分の栄光を追いかけながら生きていくことになってしまいます。

ではどうしたらいいでしょうか。「病気に負けず○○で(明るくて、元気で、変わらなくて、生き生きとしていて)すごいですね!」と言ってみるというのはどうでしょうか。確かにその人は今病気をしていますので以前と比較して全体的に見るとマイナスの状態かもしれません。しかしそれは本人の能力が一部欠けてしまったとかそういうことではなく、例えばバーベルを担がされたような状態と捉えるとどうでしょう。そうすれば、もしそのバーベルを降ろせなくても本人が筋力アップ(精神的にマッチョになったり)して復活すれば以前と同じようになりますし、バーベルを降ろすことができたらより一層マッチョな状態で甦ることになります。

すなわち病人も病人のままの自分を承認してもらいたいのではないでしょうか。病人に「早くよくなってね」と励ますことは、その伝え方によっては今のその人を否定し、以前の元気なあなたこそ本来のあなたですというメッセージにもつながりかねないと思います。病気系ブログでは基本的に以前の自分を出さずに病気後の自分だけを出すことができます。そういったブログが集まりブログコミュニティやSNSが成長していったら、お互いを認め合い、称えあうことのできるすばらしい空間になったのではないかと思います。もちろん病人でない人もそこから元気をもらうことがあるでしょうし、病気でもない自分が何やってるんだという気付きを生むかもしれません。そして新たに病気になった人もそういった空間から元気をもらい、それをまたブログに書きながら前向きに生きていくことで他の誰かを元気付けていく、そのように成長していく空間が生まれたらどんなにいいだろうか、そのように思っていました。

病気系SNSの今後に期待です。

yohei

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山口 陽平

山口 陽平

国内SIerに勤務。現在の担当業務は資金決済法対応を中心とした資金移動業者や前払式支払手段発行者向けの態勢整備コンサルティング。松坂世代。

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