IT業界のマーケティングを問う:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) IT業界のマーケティングを問う

戦略、プロモ、広報など実務から見たマーケティングをお話します

« 2007年9月6日

2007年9月7日の投稿

2007年9月8日 »

仕事で資料作成をする機会は増えていく一方だと思います。数十年前のように、ワープロ自体が普及しておらず、コピー機も潤沢に無い時代には、資料を作成できる量もそうですが、資料が活用される場面も限定的でした。さらに、資料の枚数も、意識的というよりも物理的に少なくせざるを得なかったので、資料の内容としては密度の濃いものを作成せざるを得なかった時代もあります。

しかし、今ではワードやパワーポイントで簡単に資料を作成でき、コピーも簡単に取れますし、なによりも電子媒体として回送が容易にできる時代となり、その結果として資料はあふれかえるだけでなく、そこに輪をかけるように新しい資料を日産しています。

単純に事実としての情報をまとめるだけ、または他人のお話を筆記しているだけの資料であれば、資料作成の責任自体はあまりありませんが、通常の資料ではそうは行きません。資料は、個人や会社の意見として説明に使われたり、交渉現場で説得のために活用されたり、知らないところで参考資料として意思決定の根拠に使われたりしています。一方で資料を次々に作り続けながら、中味の及ぼす影響はどんどん大きくなっていく、つまり資料作成の責任はどんどん重くなってきています。

そのような状況下で、個人の資料でなく、使用されることがわかっている資料を作成するときに、個人としてとりあえず解かったことをまとめるだけでは不十分です。資料は、必ず使われる場面を意識して作成することが、重要になってきます。説明や交渉では、説明シナリオ、交渉シナリオを意識してシナリオ内の強弱にあわせて資料の強弱さらには口頭の内容を補強する資料を追加したりします。さらに高度になると説明相手、交渉相手に突っ込ませるところを設定し、時間配分や、相手の言い分を吸収するためのポイントを作っておいたりします。

また、コンサルティングの仕事をしている場合に特に気をつけることは、資料だけが一人歩きした場合に誤解を生まないように工夫することです。単なるプレゼンテーションの資料であれば、細かい説明は不要ですし、資料に書いてしまうことでプレゼンテーションの価値を低くしてしまいますが、報告等の提出資料やディスカッション用資料では、出来る限り誤解の発生しないように資料に詳細を記述しておきます(あまり多いとうるさいですが)。またアプローチや資料の構造の説明なども追加して、資料として読んだ場合に、どのように論旨が組み立てられているかを明示的に資料に追加します。

このように、資料を作成する場合には、やっつけ仕事ではなく、どこでどのように活用されるかを意識して、それにあわせた資料作りをすることが必要だと思います。よく、当日にならないと資料が提示できない、内容が説明できない状態がありますが、説明をどのように行っていくか、使うシーンでの資料を離れた論理構成が明確に定義できていれば、細部は出来ていなくても資料としては、確認に耐えうる内容のものができていて当然だと思います。資料を作ることが目的となっている場合には、そうなりませんし、特に資料作成が、打合せの説明者や当事者とまったく独立している場合には、使われるシーンと資料の乖離は激しくなります。

資料を作成することは、単なるタスクではなく、ある交渉、説明目的を果たすための重要な要素であることを再認識して、入念な準備を行うべきだと思います。

つるた

« 2007年9月6日

2007年9月7日の投稿

2007年9月8日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

鶴田 裕史

鶴田 裕史

(株)プライアルトス代表。IBM、サン、アクセンチュアでの経験を基にIT業界向けマーケティング支援を提供。専門は事業戦略

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2012年9月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            
tsuruta
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ