永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 永井孝尚のMM21

マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

« 2011年1月3日

2011年1月4日の投稿

2011年1月5日 »

課題山積みの現代の日本に対して、今年から日本経済新聞で「三度目の奇跡」という読み応えがある連載を始めています。

1月3日は「開戦前、焼き捨てられた報告書」。

今の時代に警鐘を鳴らしています。

---(以下、引用)----

70年前の日米開戦前夜。正確に日本の国力を予測しながら、葬り去られた幻の報告書がある。(中略) 英米との戦争に耐えられるかどうか、分析を命じられた秋丸。東大教授の有沢広巳、後の一橋大学長になる中山伊知郎ら著名学者を集め、徹底的に調べることにした。

(中略)

 調査開始から1年半を経た41年半ば。12月8日の日米開戦まであと数カ月の時期に、陸軍首脳らに対する報告会が催された。意を決するように、秋丸が言った。

 「日本の経済力を1とすると英米は合わせて20。日本は2年間は蓄えを取り崩して戦えるが、それ以降は経済力は下降線をたどり、英米は上昇し始める。彼らとの戦力格差は大きく、持久戦には耐えがたい」。秋丸機関が出した結論だった。

 列席したのは杉山元参謀総長ら陸軍の首脳約30人。じっと耳を傾けていた杉山がようやく口を開いた。「報告書はほぼ完璧で、非難すべき点はない」と分析に敬意を表しながらも、こう続けた。「その結論は国策に反する。報告書の謄写本はすべて燃やせ」

---(以上、引用)----

この「日本の国力は、欧米の1/20」という事実を見ずに、いわゆる「国策」で始めた戦争の結果は、まさに悲惨の一言でした。

さて、翻って、現在の日本。

本記事にあるように、例えばこのままでは財政破綻したギリシャのようになり、日本国民の生活がとんでもなく悲惨になることは、誰の目にもあきらかです。

しかし、その事実に対して、誰も問題に手を付けない。付けられない。

では、なぜ付けられないのか?

その部分にメスを入れようとする日本経済新聞「三度目の奇跡」取材班の思いが伝わってきます。

 

ただ、一つ気になるのは、本日の連載を読むと、そのような問題が起こった事実は分かるのですが、なぜ「見たくないものは、見ない」という結論になるのか、どのようにすればその結論を回避できるのかが、提示されていないことです。

なぜそのような行動形態になるのか、その原因が分からない限り、ふたたび同じ行動を繰り返します。

実際、昨年の日本は、まさに70年前の日本の行動を繰り返していました。

 

例えば、3年前に当ブログで「極めて危険な、空気読み過ぎ+思考停止する日本」というエントリーを書かせていただきました。

自分のブログで恐縮ですが、再度一部を引用します。

---(以下、引用)----

(前略)

津本さんが指摘されているように、あの頃も、ノモンハン、ガダルカナル、インパール、他の例を挙げるまでもなく、軍部では、論理ではなくその場の空気でモノゴトが決まっていきました。

そして世間では、戦争に向かう社会全体の空気に逆らう人に対して、当時は「KY」ならぬ「非国民」というレッテルを貼りました。

戦争末期には日本全体に厭戦気分が漂い「戦争は真っ平」という空気がありましたが、戦争の当初は日本全体が緒戦の戦勝に酔った空気が漂い、日本全体がズルズルと泥沼の中に入ってしまったこともまた、我々は認識すべきではないでしょうか?

論理が排除され、思考停止状態になり、空気でモノゴトが決まっていく日本。

これ、極めて危険です。

先日のエントリー「幻想の省エネ大国・日本?」でも述べた通り、最近、日本でもその兆候が見られます。

一旦、日本全体が空気だけでモノゴトが決まってしまうモードになると、論理的な議論が極めて難しくなります。

そうなる前に、思考停止状態に陥りかけている社会に対して、私達一人一人が自分の頭で考え、本来何をすべきなのかを問いかけていく必要があります。

---(以上、引用)----

上記はあくまで一ブロガーの意見なのですが、このような視点で深掘し、新たな行動を提案するような、日本経済新聞ならではの考察が、「三度目の奇跡」シリーズにあっても、いいのではないか、とも思ったりしました。

あるいは新聞というメディアなので、その点は、読者に委ねられているのでしょうか?

この連載で、われわれ日本人一人一人が、自分自身で考えていければ、たとえ今年は厳しい年になっても、あとからふりかえると「2011年が転換点だった」と言われる年になるのではないか、と思います。

 

nagai

« 2011年1月3日

2011年1月4日の投稿

2011年1月5日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
mm21
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ