永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 永井孝尚のMM21

マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

« 2010年3月26日

2010年3月27日の投稿

2010年3月28日 »

『FREE』でクリス・アンダーソンが述べている『フリームミアム』とは、5%の有料ユーザーが、残り95%の無料ユーザーを支えているモデルです。

この5%という数字は普遍的なものなのでしょうか?

今回、『戦略プロフェッショナルの心得』PDF版を無償公開し、並行してアマゾンでも紙の本を販売していましたので、数字を比較してみました。

3/16(火)23:00から3/26(金)23:00まで、10日間のDL数: 1,278件
同期間の『戦略プロフェッショナルの心得』販売数:4冊
  (*)...中古品販売は含んでいません。

 →有料版/無償版比率 = 0.32%

という結果でした。5%ではありませんね。

「5%の有料ユーザーが、残り95%の無料ユーザーを支えている」というフリーミアム・モデルは、必ずしも普遍的なものではない、ということが、この結果からも分ります。

フリーミアム・モデルは、色々な仕組みを積み重ねて実現します。

単に無償公開版と有償公開版を用意しておくだけでは実現しない、つまり、

『タダで提供したのにあまり儲からなかった → それは創造力が足りなかっただけ』

これは考えてみたら、当り前のことですね。(実際、この10日間は、無償版だけプロモーションして、紙の有償版の方はほとんど紹介しませんでしたし)

 

また、3/1から3/16までの16日間で、『戦略プロフェッショナルの心得』は12冊売れていました。

その後の10日間で売れたのが4冊ということは、結果的に有償販売版とのカニバリゼーションを起こしている可能性があります。

ただ今回、PDF版無償DLがきっかけで、読んで下さった方々が1,000人もおられました。

元々は「沢山の方々に読んでいただきたい」という動機で自費出版をしたのですし、今回のPDF版無償DLはそれを拡げるために行いました。儲けるために行ったのではないので、今回の結果には、心から満足しています。

今後も、『戦略プロフェッショナルの心得』PDF版の無償公開は、有償版が売れなくても継続します。

ちなみに、ここからダウンロードできます。

 

さて、自費出版ではなく商業出版において、書籍を完全無償公開してビジネスとして成立させるためには、無償で入手する人達のうち何%がプレミアム版を購入するか、という比率にビジネスケースがかかってきます。

今回の試みでも分るように、「無償公開の5%がプレミアム版を購入する」という話は、必ずしも普遍的な話ではなく、色々な仕掛けを工夫することで成り立ちます。

 

また、先日ご紹介した岩瀬さん著『生命保険のカラクリ』は、出版社と色々と交渉した末、期間限定での公開です。

またクリス・アンダーソン著『フリー』は、日本語版が出る前に限定1万部をネットで配信しましたが、これが人気をあおりベストセラーに繋がった面も大きいと思います。

このように、商業出版においてネットで無償公開してビジネスに繋げるためには、デマンド・ジェネレーションの一環として、期間限定公開で話題性が高まるのを促し、期間終了後に実際の本の販売で投資を回収する、という手法が現実的なのかな、と思います。

他にも、特定の章だけを公開する方法もありますね。ただこの場合は、予めネットで無償公開することを前提で目次をデザインしておくべきかな、と思います。

デマンド・ジェネレーションするためにはどこの章を使い、顧客が有償でも価値を得たいと考えるのはどこの章で、その部分でいかに投資を回収するか、ということですね。

 

ただ、ネットで期間限定あるいはコンテンツ限定で無償公開することが差別化ポイントになるのは、電子出版がブームになっていて、かつ、実践している人達が極めて少数派である現時点だからこそ、だと思います。

今後、この手法は一般化し、どの出版社も行うべき当り前の手法になってくるかもしれません。

nagai

« 2010年3月26日

2010年3月27日の投稿

2010年3月28日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
mm21
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ