永井孝尚のMM21:ITmediaオルタナティブ・ブログ (RSS) 永井孝尚のMM21

マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

« 2007年3月21日

2007年3月22日の投稿

2007年3月23日 »

成熟した同じ市場セグメントに、過半のシェアを持つ強力な競合企業がいたとします。

強さの理由は、チャネル全体を支配していたり、製品が極めて強力だったり、マーケテインングが巧妙だったり、様々です。

さて、「この市場から撤退する」という選択肢がない場合、あなたはどのようにしますか?

相手の製品を調査してこれを上回る製品開発に投資したり、チャネルに対してより強力なインセンティブ・プログラムをうったり、マーケティング予算を獲得してよりアグレッシブなマーケティングをやったり、ということを考える人もいるかもしれません。

しかし、これは"Me, too, strategy"(強いて訳すと「私も戦略」)というもので、成功する可能性はあまり高くありません。

既に過半のシェアを握っている競合相手に対して、同じ土俵で相手と同じ方法でより大きな努力をしても、規模の経済によって、相手はより低コストで高い利益を享受しているため、なかなかシェアを挽回することは出来ないからです。

一つのカギは、クレイトン・クリステンセンが「イノベーションのジレンマ」で述べている通り、破壊的イノベーションの活用です。

何故、破壊的イノベーションが、市場のリーダー企業にとって危険なのか、クリステンセンは以下のように述べています。

---(以下、p.84より引用)---

「顧客の意見に耳を傾けよ」というスローガンがよく使われるが、このアドバイスがいつも正しいとはかぎらないようだ。むしろ顧客は、メーカーを持続的イノベーションに向かわせ、破壊的イノベーションのリーダーシップを失わせ、率直に言えば誤った方向に導くことがある。

---(以下、p.247-251より引用)---

性能の供給過剰が発生すると、破壊的技術が出現し、確立された市場を下から侵食する可能性が出てくる。….1988年には、3.5インチドライブの平均容量は、主流デスクトップ市場が求める容量に匹敵するようになり、5.25インチ・ドライブの平均容量は主流デスクトップ市場が求める容量を約300%も超えるようになっている。….その結果、デスクトップパソコンメーカーは急速に3.5インチドライブに切り替え始めた。…実際には3.5インチの方が1MB当りコストで20%高かったが、1986-1988年の市場では(設置面積縮小のため)ドライブの大きさが他の特徴よりも意味を持つようになり始めた。

---(以上、引用)---

冒頭の課題に対応するためには、市場における破壊的技術が何なのかを常に把握し、いかにそれを活用するかを考えることが必要になります。

また、同じ市場でも、ユーザー・セグメントを変える方法もあります。破壊的イノベーションの場合も、当初はローエンド又は非消費のユーザーセグメントを狙い、破壊的技術の性能が上がるに従って従来のセグメントでのシェア獲得につなげることを狙います。

もちろん、これ以外にも様々な戦略があります。

一種のゲームとして色々と考えてみると、面白いですね。

nagai

« 2007年3月21日

2007年3月22日の投稿

2007年3月23日 »

» このブログのTOP

» オルタナティブ・ブログTOP



プロフィール

永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

詳しいプロフィール

Special

- PR -
最近のトラックバック
カレンダー
2013年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
mm21
Special オルタナトーク

仕事が嫌になった時、どう立ち直ったのですか?

カテゴリー
エンタープライズ・ピックアップ

news094.gif 顧客に“ワォ!”という体験を提供――ザッポスに学ぶ企業文化の確立
単に商品を届けるだけでなく、サービスを通じて“ワォ!”という驚きの体験を届けることを目指している。ザッポスのWebサイトには、顧客からの感謝と賞賛があふれており、きわめて高い顧客満足を実現している。(12/17)

news094.gif ちょっとした対話が成長を助ける――上司と部下が話すとき互いに学び合う
上司や先輩の背中を見て、仕事を学べ――。このように言う人がいるが、実際どのようにして学べばいいのだろうか。よく分からない人に、3つの事例を紹介しよう。(12/11)

news094.gif 悩んだときの、自己啓発書の触れ方
「自己啓発書は説教臭いから嫌い」という人もいるだろう。でも読めば元気になる本もあるので、一方的に否定するのはもったいない。今回は、悩んだときの自己啓発書の読み方を紹介しよう。(12/5)

news094.gif 考えるべきは得意なものは何かではなく、お客さまが高く評価するものは何か
自社製品と競合製品を比べた場合、自社製品が選ばれるのは価格や機能が主ではない。いかに顧客の価値を向上させることができるかが重要なポイントになる。(11/21)

news094.gif なんて素敵にフェイスブック
夏から秋にかけて行った「誠 ビジネスショートショート大賞」。吉岡編集長賞を受賞した作品が、山口陽平(応募時ペンネーム:修治)さんの「なんて素敵にフェイスブック」です。平安時代、塀に文章を書くことで交流していた貴族。「塀(へい)に嘯(うそぶ)く」ところから、それを「フェイスブック」と呼んだとか。(11/16)

news094.gif 部下を叱る2つのポイント
叱るのは難しい。上司だって人間だ、言いづらいことを言うのには勇気がいるもの。役割だと割り切り、叱ってはみたものの、部下がむっとしたら自分も嫌な気分になる。そんな時に気をつけたいポイントが2つある。(11/14)

news094.gif 第6回 幸せの創造こそ、ビジネスの使命
会社は何のために存在するのでしょうか。私の考えはシンプルです。人間のすべての営みは、幸せになるためのものです――。2012年11月発売予定の斉藤徹氏の新著「BE ソーシャル!」から、「はじめに」および、第1章「そして世界は透明になった」を6回に分けてお送りする。(11/8)

オルタナティブ・ブログは、専門スタッフにより、企画・構成されています。入力頂いた内容は、アイティメディアの他、オルタナティブ・ブログ、及び本記事執筆会社に提供されます。


サイトマップ | 利用規約 | プライバシーポリシー | 広告案内 | お問い合わせ