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マーケティングとは? グローバル化とは? ライフワークとは? 一緒に考えてみましょう

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2006年12月30日 »

こちらに書きましたように、パソコンをアップグレードしたのに伴い、今まで使っていたPhotoshop V4をCS2にバージョンアップしました。また、ハードディスク容量が160GBとかなり余裕が出来たこともあり、作品として残す写真についてはRAWデータで撮影できるようになりました。

遅ればせながら、Photosop CS2 + RAWデータにより、撮影した写真をかなり自由に加工できることに改めて驚いています。

ここまで自由に加工できると、「写真の真実性とは何か」というテーマについて、改めて考えさせられました。(但し、ここでの写真の加工はRAWデータの調節のみに限定しています。画像に写っていない対象を加えたり、逆に余分なものを削除する、といったような加工は除外しています)

■ ■ ■ ■

RAWデータにより、撮影後でも、色温度、露光量、明るさ、カラーバランス、コントラスト、といった各種パラメータについて修正が可能になります。

思い起こせば、銀塩フィルムを使っていた頃は、撮影テーマや撮影対象に従って、撮影前にフィルムを選択していました。(例えば、白黒フィルムかカラーか、高感度フィルムか低感度フィルムか、デイライトタイプかタングステンタイプか、リバーサルかネガカラーフィルムか、等)

さらにフィルム現像を行う場合は、撮影意図によって現像方法も変えていました。

例えば、白黒で質感を上げて表現したい場合、コダック・トライXを使いISO320で撮影してD76希釈現像で現像時間を10%短くすることで、粒状性を細かくしつつより豊富なトーンを再現する。逆に荒涼感を出すためには、同じくトライXに赤フィルターを付けてISO1600程度で撮影し、D76をさらに希釈し高温で長めに現像することで、粗粒子・ハイコントラストに再現する、というような感じです。

このように、銀塩フィルムの場合は、表現意図に合わせて、フィルムの選択、撮影方法、現像方法まで全てを変えていましたし、一連のプロセスの中でどれかが失敗すると、全体の仕上がりもうまくいきませんでした。

RAWデータ加工で、この流れが大きく変わり、撮影終了後に自由にフィルム特性に相当するパラメータを変化させることができ、かつ、作業のやり直しも可能になりました。さらにPhotoshop CS2により、レンズのゆがみ、特定方向のブレ、ある程度のボケ、等、撮影の失敗もある程度救済可能です。

■ ■ ■ ■

写真は「真実を写す」と書きます。この「真実」をどのように定義するか、で、それぞれの人にとっての写真の意味が変わってきます。

ここではあくまで技術的な観点でのみ考えると、「真実を写す」ということは、いかに特定のシーンの写像を自分の表現意図に合った形で残すか、ということになります。

しかし、その写像を残す方法は、その手段を考えた人の主観で作られています。例えば、フィルムメーカーが銀塩フィルムを設計する際、色のバランスをどう考えるか、発色は鮮やかにするのか渋めにするのか、等、色々な基準で作っています。私達は作品を撮影する際に、このような様々なフィルムの中から自分の価値観に合ったフィルムを選択しているのです。カメラやレンズの選択も同様でしょう。

■ ■ ■ ■

Photoshop CS2によるRAWデータ加工は、「表現意図に合ったフィルムを選択する ⇒撮影する」という流れを、「撮影する ⇒表現意図に合わせて加工する」というように逆転させ、かつ、表現手段の自由度をより撮影者側に残してくれる、という意味で、きわめて画期的なものです。

しかし、これはあくまでプロセスの変更、つまり真実の写像を作るプロセスが変わったに過ぎません。

「写真の真実性」という観点だけで考えると、RAWデータによる写真の加工と、銀塩フィルムによる撮影では、特定のシーンの写像を自分の表現意図に合った形で残すという結果自体には変化はなく、従って、「写真の真実性」も、なんら変わることはない、というのが私の結論です。

nagai

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永井孝尚

永井孝尚

オフィス永井代表。 著書「100円のコーラを1000円で売る方法」シリーズ(中経出版)、他。

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