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 この業界でも時々調査会社から製品シェアに関する調査結果が発表される。実はこういうデータを見るときには、ちょっと注意というか知識が必要だと思う。つい先日ある記者さん達とこうした製品シェアの調査結果について議論したのでそれを思い出しながらまとめてみる。

 調査対象がコンシューマ向けの製品の場合市場全体の規模は、小売りや流通のデータが使える。シェアについても、卸での出荷データや家電量販店の店頭POSデータをベースに調べられるので調査結果の数字はある程度そのまま信用できる。しかしエンタープライズ向け製品それもSIなど付随作業とセットで売られる製品の場合、そもそもこの元になる数字が無い。
 では調査会社がこうしたシェアの調査をどうやってやるかというと、各製品の製造・出荷元にアンケートを配布して、出荷本数や売上金額を回答して貰い、それを集計して全体の市場規模や各製品のシェアを推測するという手法をとることが多い。ここで留意しておく点が、調査の基点となる最初の数字がベンダーからの自己申告数字だということだ。ベンダー側の自社の製品のシェアを大きく見せようする意図などが入る余地があるということ。
 もっとも調査する側も、全てをアンケートだけですませるのではなく主要製品のベンダーにはヒアリングを実施するし、ちゃんとした調査会社であれば製品を導入した顧客企業まで裏付けのヒアリングなどを実施するので、あまりにもひどいものは弾いているだろうしそれなりの精度は確保しているだろうが、まずこの点は頭の隅に入れておくべきだろう。
 あとはベンダーによっては、アンケートに出荷本数しか回答せず金額は回答しない主義のところもある。この場合の金額は定価や一般的なSI規模で類推するのだろうが、例えば試用と称してほとんど無償で配布してしまっているようなツールもあったり、市場の建ちあがり期には定価の数割で提供する例などもあるので、単純に本数×定価がその製品の金額シェアに直結しているかどうかも吟味が必要だろう。
 それからこの手法だと調査結果に出てくる製品やベンダーは、当然アンケートの配布先に限られる。有力製品が含まれていない調査結果が散見されるのはこのせいだ。トップ企業は ともかく2番手企業が落ちている事すらある(逆にどの製品が調査会社のアンケート配布先に入っていてどれが入っていないかというのを見るのも面白いのだけ ど)

 そういえばつい先日ITRから「エ国内企業向け全文検索ソフトウェアの市場調査が発表されていた。この結果の金額シェアのグラフなんかはそのまま見るのではなく、いくつか考えないといけないポイントがある。
 例えばこの結果にはハイエンド向け(金額単位が億円になるようなもの)からミドル、ローエンド向けまでの製品ベンダーが混在しているので、金額シェアではハイエンド向けのベンダーが当然強いけど本数ベースのグラフと一緒に見た方がよいだろう。
 また、OmniFindはフリーダウンロード版があったのでそれはどう捉えるべきかとか、そもそも調査対象が「企業向け検索市場」となっているが、この表現だと本当にファイヤーウォールの中のエンタープライズサーチとファイヤーウォールの外側になる企業ホームページ内検索が混在することになるが、その内訳はどうなのかとか。
 あと海外では、こうしたシェア調査のスポンサーに特定製品ベンダーがスポンサーになるケースという言うのも少なくないようだ。そういう場合のヒントはどこかに書かれているので調査結果を見るときは隅々まで良く見た方がよい。

yoi

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吉川 日出行

吉川 日出行

みずほ情報総研勤務。情報共有や情報活用を主テーマにコンサルティングや新ビジネスモデルの開発に携わっている。

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