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先日のエントリで、戦争を扱ったNHKスペシャルについて言及しましたが、昨夜のNHKスペシャルも違う意味で考えさせられるものでした。世界各国の女性が一堂に会し、世界一を競い合うイベント「ミス・ユニバース」の舞台裏を描くという内容です:

私はこうして“世界一”の美女をつくる (NHKスペシャル)

この番組を観て初めて知ったのですが、各国の代表には「ディレクター」と呼ばれる監督のような存在がついていて(もちろん予算等の都合でそういった役職を置いていない国もあるのでしょうが)、例えばサッカー日本代表のように代表選び・トレーニング・戦略等を考えるのだとか。当然ディレクターの考え方が違えば、選出される女性も違ってくるわけで、番組は日本代表のディレクターであるイネス・リグロンさん(フランス人)を軸に、他の国々のディレクターと代表者が紹介されるという形式で進行していきました。

一体全体、女性の美しさとは何なのか。非常に抽象的かつ哲学的で、一方で非常に下世話になりがちなこの問いに対して、各国のディレクター達の考え方が披露されます。日本代表ディレクターのイネスさんの意見はこんな感じ:

  • 美しさとは外面だけでなく、内面も含めての概念。
  • 他人の真似をしてもダメ。自分の美しい部分を意識し、そこを引き出すようにしなければ。
  • 日本の女性は画一的。もっと自分を出して、ユニークになることに積極的になるべき。

録画しながら観ていたわけではないので、一字一句イネスさんがこう語ったわけではありません。あくまでも僕が印象に残った部分を言葉にしてみたものですが、「自分らしさを認め、自信を持つことが美しさを醸し出す」というのが彼女のメッセージだと感じました。その一方で、ベネズエラ代表のディレクター、オスメル・ソウサ氏は対極的な意見を披露します:

  • 何よりも見た目の美しさが重要。
  • そのためには、整形手術をしても構わない。
  • 「人々はミケランジェロのピエタが美しいというが、あれは大理石から作り上げたものだ!」

いやぁ、ここまで言い切ってくれると逆にすがすがしい(?)です。内面も含めた美か、はたまた外見を最優先させた美か――どちらが正しいのか、は当然結論が出るものではありませんが、今年のミス・ユニバースを制したのはベネズエラ代表の女性だった、ということだけ記しておきたいと思います(ちなみに昨年はご存知の通り、日本代表の森理世さんがミス・ユニバースに選ばれており、この時のディレクターもイネスさんでした)。

そもそも比較しようがない「美しさ」を競い合い、頂点を目指すということ自体、無意味な行為なのかもしれません。ミス・ユニバースというイベント自体がビジネスであり、全ては茶番だと覚めた目で見ることもできるでしょう。しかし「自分らしさを大切にしよう」「自分に自信を持とう」というイネスさんのアドバイスには、単なる美人コンテストの範疇にとどまらない普遍性を感じました。とかく「マジョリティから離れていないこと」が行動規範となりがちな日本の社会の中では、女性だけでなく男性にも勇気を与えてくれるメッセージではないでしょうか。

ちなみに今年のミス・ユニバース日本代表は、日本大学に在籍中の大学生・美馬寛子さんだったのですが、イネスさんが彼女を日本代表に選んだ理由の1つが番組内で紹介されていました。それは、「5年後の自分というテーマで作文しなさい、と命じたときに、彼女だけミス・ユニバースに選ばれた後の自分を描いていたから」だったとのこと。自分の行く先をしっかりと見据え、そこに迷わず進んでいくこと――それも周囲の人々に美しさを感じさせる、1つの要素なのかもしれません。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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