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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

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無理難題を言うな!と言いたくなってしまう瞬間、誰にでもあると思います。半年で売上げを倍にする手段を見つけろ、シェアNo.1製品の弱点を探せ、明日の業務開始までにバグをフィックスしろ、などなど……できればそんなタスクは避けるのがベストなのですが、万が一巻き込まれてしまった場合でも、希望だけは捨てない方が良いようです。

いや、安いドラマのセリフのような、気休めでもなんでもありません。昨日は体調が悪かったので、ネット徘徊はお休みにして『組織行動論の実学―心理学で経営課題を解明する』という本を読んでいたのですが、その中にこんな実験が紹介されていました:

ハーバード・メディカル・スクール教授のジェレミー・ウルフとトッド・ホロビッツ、同校のブリガム・アンド・ウィメンズ・ホスピタルのナオミ・ケナーが証明したように、見落としてしまう情報とは予想外の情報に限らない。

彼ら彼女らは、空港で使われる銃刀類の検査装置を研究室内に持ち込み、被験者たちにはあらかじめ危険物が発見される頻度を教えたうえで、カバンを調べさせた。「50パーセントの確率で見つかる」と教えた場合、誤答率は7パーセントであった。しかし、「1パーセントの確率である」と伝えると、誤答率は30パーセントに跳ね上がった。つまり、危険物の発見が期待できないと判断すると、真剣に探さなくなるのだ。ウルフはこの現象を、「見かけなくなると見なくなる」と説明している。

どうせ見つからないと思うと、見えなくなってしまう――同書の別の箇所では、もっとポジティブに、こんな言葉で置き換えられています。

「信じることで、見えるようになる」

有名な"Seeing is believing"(見ることは信じることである=「百聞は一見にしかず」)というフレーズを逆さまにした言葉ですが、先の実験結果と合わせて考えると、単なる言葉遊びとも言い切れません。「絶対に見つかるはずだ」と信じることによって、これまで見落としてしまっていたごく僅かなデータに気づく、ということがあるのではないでしょうか。

もちろん、天地がひっくり返っても不可能なことはあります。しかし「明日までに Google を超える検索エンジンを作れ!」というオーダーでもない限り、一度騙されたと思って「この解決策がどこかにあるはずだ」と信じて探してみても良いのかもしれません。特に様々な理由で、否応なしにそのタスクを遂行しなければいけないのなら、ね。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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