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朝日新聞の日曜版に、ちょっと面白い記事がありました。「良い審判に必要なのは何か?」という内容で、調査によると、優れた判定を行うには「良い視力」以上のものが欠かせないそうです。

日本サッカー協会審判委員会も最近、一般に評価が高い副審と、そうでない副審の目の動きを映像化して解析した。その結果、「いい審判は目配りがいい」という結論に達した。

守備ラインの位置、パスを出そうとする選手と受けようとする選手、さらに球の動きと、複数の情報を同時に意識し、オフサイドの判定をしていた。一方、評価がさほどでない審判はボールの動きに目をとられる傾向があった。

とのこと。つまりボールやプレイが行われる場所ばかりを見ていてはダメで(特にオフサイド等の判定には、選手の位置関係が重要になるわけですよね)、それ以外の様々な情報にも意識が向いていなければならない、と。だからといって全ての情報を処理しようとしていては時間が足りませんが、日本体育協会公認スポーツドクターの真下一策代表は、

「意識していないものは見えない。いい審判というのは、どこを見るべきかわかっているようです」

と指摘しています。限られた時間で正確なジャッジを行うために、注意を向けなければいけない部分はどこか。目が良いことに加え、そういった判断能力や経験が豊かなことが、良い審判かどうかの条件になるわけですね。

以前「長年事故を起こしていないベテランドライバー」と、「免許を取ったばかりの初心者ドライバー」の視線の違いを分析したテレビ番組を観たことがあります。ここでも初心者ドライバーが目の前の景色ばかりに視線/意識を集中させていたのに対して、無事故のベテランドライバーはドアミラーやバックミラーなど、いくつかの箇所に意識を振り分けているという結果が出ていました。一見すると、目の前の景色以外の情報に気を取られていると危険なように感じますが、ベテランドライバーは「注意を払うべきポイント」が分かっていて、そこから危険を予測して事故を回避していたわけですね。

私たちの日々の仕事においても、ライバル企業や業界の動き、政治経済の動きなど、常に見守っていなければならないモノがあると思います。そのためにあらゆる情報を集め、分析しようとしたら、時間がいくらあっても足りません。しかし目の前の動きばかりに気を取られていては、その動きが意味するものを正しく理解できないばかりか、もっと先の状況を予測することはできない――その中で的確なジャッジを下せるか否かは、優れた審判の条件と同じ「どこを見るべきかを判断する力」が問われるのでしょう。その意味で、私たちは視力=情報収集力だけでなく、情報の取捨選択力も磨かなければいけないのでしょうね。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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