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« 2007年12月4日

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2007年12月6日 »

話題となっている「ケータイ小説」ですが、ただの流行とも言っていられないレベルに達しているようです:

「ケータイ小説」がベスト3独占、07年文芸部門 (YOMIURI ONLINE)

2007年の書籍の年間ベストセラー(トーハン調べ)が4日発表され、女子中高生に愛読されている「ケータイ小説」が文芸部門のベスト3を独占、ベスト10では5作がランクインした。

とのこと。さらに総合でも『恋空』が10位にランクインしているそうです。「若者の活字離れ」とやらが叫ばれている状況では、驚異的な出来事ではないでしょうか。

一方でケータイ小説の中身については、意見は真っ二つに分かれています。「文章が稚拙」「犯罪や性行為の描写が多い」など、否定する意見が多い一方で、(主な読者である)中高生の世代からは共感を得ているという指摘もあります:

ケータイ小説が女子中高生に大人気 (R25.jp)

R25 の記事だけでなく、ケータイ小説が支持される理由として「身近」であること――ケータイという端末自体がいつもそばにあるというだけでなく、内容も読者が関心を持っていることに近い、という点を挙げている記事は多く見られます。確かに興味を持てばその場で読んでみることができる、というのは大きなポイントでしょう。残念ながら中身については、僕は(いくつかケータイからアクセスして読んでみたものの)共感を感じることはできなかったのですが、彼らの世代にとっては重要なテーマであるということは否定できないでしょう。また考えてみれば、中高生のリアルな共感を得ようとして作られた本って、実は少ないのでは――だからオトナからすれば「稚拙な」内容であっても、支持する若者が多いのではないでしょうか。

さらに読売新聞の記事では、こんな点も「身近」であったとの指摘があります:

インターネットや情報社会に詳しい国際大学グローバルコミュニケーションセンター研究員の鈴木謙介さん(31)は「ケータイ小説はコンビニなどこれまで本を売る仕組みの中になかったルートを開拓して売り上げを伸ばした。来年以降、出版界も新しい出版のあり方を見直していくことになるのでは」と話している。

そういえば、僕が『恋空』という小説の存在を知ったのも、コンビニに並べられているのを見てだったと思います。コンビニで置かれることになった背景には様々な理由があったのでしょうが、普段は書店に足を運ばない/運んでも小説コーナーには足を踏み入れない人々に対して、書籍の方から近付いたという点は大きかったのではないでしょうか。

そう考えると、若者が望んでいたコンテンツを、手に取りやすく、購入しやすいかたちで販売したケータイ小説が売れるのは当然ですよね。別に特別なことが起きたわけではなく、その裏にあるのは商売の基本なのかもしれません。「あんなの文学じゃない、『異様』だ」と言うことは簡単ですが、少しでも彼らのアプローチを研究し、読者にとって身近な存在となる努力が他のジャンルでも必要なのではないでしょうか。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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