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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

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2007年11月15日 »

このところ読書をサボっていたのですが、『日経 五つ星の美術館』という本を読了。文字通り全国の美術館に格付け(星5つによる評価)をしてみようという本で、評価の高かった美術館が紹介されるとともに、格付けの手法(単に集客力の高い施設を星5つとするのではない)や美術館を取り巻く現状についても解説されています。

皆さんも感じられているかもしれませんが、いま美術館経営は非常に厳しい状況にあります。長引く景気低迷の余波を受けて、自治体や企業からの支援が減少。国立新美術館や森美術館など、大型で大都市にある美術館が注目を浴びる一方で、中小規模の美術館の中には閉鎖の危機に立たされているものも。地元に美術館がある、という方は、最近いつ行ったか思い出せますか?

しかし僕は、不謹慎だと怒られてしまうかもしれませんが、「美術館運営って面白そう!」と感じてしまいました。というのも同書では、厳しい状況に直面しつつ、それを努力とアイデアで乗り越えようとする様々な美術館が取り上げられているからです。ニートの若者たちを巻き込んだ企画を実施した金沢21世紀美術館や、「コンビニ美術館」を標榜して徹底した地域密着を行うふくやま美術館、「所属作品が少ないなら創ってしまえ」の発想の下、来場者が願いを書きこんだグラスでアートをつくった砺波市美術館などなど。いや、厳しい状況であるということは理解しつつも、僕もアイデアを出して参加してみたい――という気分にさせられました。

同書の中で、アーティストの日比野克彦さんがこんなことを仰っています:

21世紀に入って、地域が公立美術館に期待するものはがらっと変わった。これまで美術館は有名な作品を持ってきて、人々に鑑賞の機会を与え、啓蒙に努めてきた。だが今はいかに地域の問題に積極的にかかわっていくかが問われている。

様々な価値観が変化する時代、美術館という施設も、存在意義そのものを変化させなければならないのでしょう。もちろん従来のような「優れた芸術作品に触れる場」という機能は残りつつも、金沢21世紀美術館が行った「ニート問題への取り組み」のように、社会に対し様々な影響を与える施設になっていくのかもしれません。私たちはそれを目の当たりにしようとしているのかも。

「ビジネスに役立つアイデアが欲しい」「クリエイティビティを刺激されたい」という方は、美術館に足を運ぶと良いかもしれません。展示されている作品からだけではなく、そこに集う人々や美術館自体からも、何か得るものがあるかもしれませんよ。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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