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IBCSの調査によれば、「向こう2年以内に抜本的なイノベーションを計画」と答えたCEOは、世界全体で65%だったのに対し、日本では86%に上ったそうです:

■ 日本のCEO 86%「2年内に変革計画」 -- IBM系調査 世界11地域で最高(日経産業新聞 2006年6月13日 第7面)

詳しい内容は、以下のプレスリリースで確認することができます:

プレスリリース -- 日本アイ・ビー・エム株式会社(JCN Network)

また調査によれば、日本のCEOがイノベーションが必要な分野として挙げたのは「市場と商品・サービス」が42%、「ビジネスモデル」が34%、「オペレーション」が24%とのこと。特にビジネスモデルの変革を挙げる比率は世界平均の28%を上回り、関心の高さがうかがえると指摘されています。総じて日本のCEOは抜本的・全社的なイノベーションに積極的、という雰囲気の結論にまとまっています。

この結果を見て「ああ、日本のCEOはイノベーションを進めようとしているんだ。日本企業の将来は明るい」と安心できるでしょうか。「イノベーションが必要」と回答したCEOが、実際にイノベーションを実現できれば良いのですが、僕は逆に不安感を覚えます。果たしてビジネスモデルも含めた抜本的な改革が必要な企業が、それほど多く存在するのでしょうか。顧客満足度の向上や人事制度の改善など、既存の延長線上で取り組めることはないのでしょうか。

感覚的な意見になってしまいますが、最近書店に行くと、タイトルに「イノベーション」という単語がつく本が妙に目立つように感じます。その1冊1冊は素晴らしいもので、僕も何冊か購入して読んでいますが、何か「閉塞感を打ち破る特効薬」としてイノベーションが位置付けられてしまっている危険性はないでしょうか。例えばIBCSのプレスリリースの最後にも、

分析の結果、収益が業界の上位50%に入る企業は、下位50%に入る企業と比較して、約2倍多くビジネスモデルにまで踏み込んだイノベーションの実現に取り組んでいることが明らかになりました。

こんな一文があります。いったい「2倍多くビジネスモデルに踏み込んだイノベーション」とは何なのでしょうか?確かに調査すればそのような事実があるのかもしれませんが、これだけではイノベーションが魔法か何かのように感じられてしまいます。かつてBPRなどといった言葉がITシステム導入のお題目として唱えられたように、「イノベーション」はきちんとした定義や批判のないまま、一人歩きを始めているように思います。

小泉首相は「自民党をぶっ壊す」という言葉で人々の支持を集めました。良い悪いは別にして、実際に様々な既存制度を「ぶっ壊す」ことに成功しているのも人気の理由でしょう。そんな空気が、「ビジネスモデルを抜本的に変えたい、いっそのこと全てをリセットしてしまいたい」という感覚につながっているのでなければ良いのですが。イノベーションという劇薬を手にする前に、もう一度やれることはないか考えてみる姿勢も必要ではないでしょうか。

<追記>

ITmedia でも記事が出ていましたので、リンクしておきます:

抜本的イノベーションを計画しているCEOが86%で世界を上回る――IBCS調べ(ITmedia)

アキヒト

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小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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