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SCEがPSPをテーマにした新しいグッズブランドを立ち上げるそうです。その名も「PLAYSTATION Signature」:

大人を意識――SCEの新ブランド「PLAYSTATION Signature」立ち上げ (ITmedia +D Games)

記事を見ていただければ分かりますが、PSPポーチやリモコン付きヘッドホンといった直接的な周辺機器だけでなく、ワイングラスやワインオープナーといった派生商品まで発売するとのこと。正直言って、なぜ PLAYSTATION ブランドで販売しなければならないのか理解に苦しむものもあります。恐らく深遠なブランド戦略があるのだと信じていますが、勝手ながらこの取り組みがあまりよろしくないと思う理由を1つ。

ゲーム端末が市場を拡大するために、「ゲーム」という枠を越えようとしているのは理解できます。ニンテンドーDSが成功したのも、「脳を鍛える」といったエデュテイメント系ソフトにより、従来のゲーム端末が取り込めていなかったセグメントにアピールできたことが大きいでしょう。この視点で考えれば、PSPがゲーム端末としてではなく、「上質なライフスタイル」を構成するモノというイメージで見てもらおうと取り組むのは理に適っています。

しかしDSがゲームの枠を越えるのに成功したのは、効果があるかどうかはともかく「脳の老化を防ぐ」という機能がアピールできたからです。この機能をブランドイメージと捉えれば、ニンテンドーDSブランドの下で書籍(「脳を鍛えるドリル」などといったパズル・クイズ本)や玩具(知恵の輪やルービックキューブなどの知育玩具)などを展開させることができるでしょう。

一方、PSPには「上質なライフスタイルを提供する」という機能は見えていません(あくまでも「上質なライフスタイル」がPSPの追い求めているブランドイメージだと想定して、のことですが)。断片的には様々な機能が提供されているものの、消費者の間に具体的なイメージが確立されているとは言いがたいでしょう。そのような状態でスタイリッシュな生活雑貨の中にPSPが置かれても、生活雑貨が作るブランドイメージが際立つばかりで、PSPに同じイメージが生まれることを期待するのは難しいのではないでしょうか。

仮にPSPに「世界のレシピとおいしいワイン」などといったソフトがあり、料理の作り方からちょっとしたウンチク、料理に合うワインまでを紹介してくれるような端末として機能したとしましょう。それがヒット商品になれば、消費者の間に「PSPは楽しい食卓を実現する」という機能イメージが生まれ、ワイングラスやワインオープナーなどといった派生ブランドに展開できるのではないでしょうか。ブランドが持つイメージは縦に流れるものであって、下から上がってくることは考え辛いと思います。

むしろ今回のような生活雑貨への展開は、(故)AIBOブランドで行った方が面白い結果が出ていたように思います。と、門外漢がいろいろ喋ってしまいましたが、心配で口出ししたくなってしまうファンがまだまだ多いのが「ソニー」というブランドなのだ、と好意的に感じでもらえれば嬉しいのですが。

<追記>

ちょうど New York Times にソニーの記事が載っていました:

Cutting Sony, a Corporate Octopus, Back to a Rational Size (New York Times)

"Sony premium"が減少しつつある、という指摘。PLAYSTATION Signature のグッズが妙に高いのも一種の"Sony premium"なのでしょうが、果たしてこの価格に対する納得感を生み出せるのでしょうか。過去の栄光から出た勘違い、とならなければ良いのですが・・・。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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