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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

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昨日のエントリ(情報ジャスト・イン・タイムの作り方)で「暗黙知を無理に形式知化しようとするとまったく使えないマニュアルができあがる」と書いたのですが、こんな書き方をしたのは先日読んだ『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』という本に理由があります。最近さまざまな雑誌やWEBサイトで紹介されているので、ご存知の方も多いでしょう。人間は「適応性無意識」という能力を持っており、これを鍛えることで瞬時に的確な判断を下せるようになる--ということを解説した本です

「適応性無意識」という難しい単語を使っていますが、要は日本語で言う「体が覚えている」というやつで、職人技といった感覚的に覚える技能(まさしく「暗黙知」)が存在していることを説明しているわけです。ただこの本の中には、こんな面白い指摘が出てきます:

世界のプロテニスプレーヤーはたいてい、フォアハンドを打つときは手首のスナップを利かせてラケットを回転させるようにしてボールにかぶせると説明する。 しかしビデオで検証すると、手首を回すのはボールを打ってからかなり後だと分かる。彼らはウソをついているのだろうか?いや、適応性無意識による行動は本 人も説明できないため、適当な話をしているだけなのだ。

つまり「応性無意識」で行われた行動は無意識であるが故に、無理に説明しようとしてもできない--それでも無理強いすれば間違った理由を考えてしまう--ということです。確かに精密機械よりも細かい加工ができる熟練工に、「なぜ数ミクロンといった精度で加工ができるのか」と尋ねても、明確な答えを期待することはできないでしょう。仮になんらかの回答が得られたとしても、それを聞けば誰でもすぐに同じ作業ができる、ということにはならないと思います。

もちろん、全ての「暗黙知」が「形式知」にできないという訳ではありません。中には「コロンブスの卵」的に、気付けばすぐに実践できる(気付くことが難しい)といった類の知識もあるはずです。しかし中にはそれができないものもあり、一見マニュアル化ができたように見えても、実は誤りだらけだった--ということが起こり得るという点は、十分注意しておかなければならないと思います。

だからと言ってそんな「形式化不能暗黙知」をデジタル技術で共有ができないのかというと、そんなことはないと思います。昨日のエントリで書いてみたように、「専門家にいつでも質問できるようにする」といった仕組みや、そもそも誰が専門家なのかを分かりやすくする仕組み(Know-Who)、テキストだけではなく音声や動画で職人の技を記録する仕組みなど、さまざまな工夫が考えられるでしょう。要は「暗黙知が暗黙知のままでも、簡単に共有できるようになる仕組み」にも目を向けるべきだと思います。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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