孫社長が「CACHATTOで対応済みです」と言ってくれるまで
★10年レビューの続きものが続きます。
★「うちの孫(そん)がそう申しておりまして。。」 ソフトバンクの方々とお話しすると、かなり若い人までから、この違和感あるフレーズが聞けます。通常の会社であれば、そこの社長さんがどう言おうと相手には関係ないことですよね。ところがさすが、孫社長です。すでにスペシャルキャラクター、このフレーズが通用してしまうから不思議です。その孫社長が講演で取り上げてくれたのであれば、その製品はソフトバンクグループで大いなる市民権を得ます。今朝はその実例について。
■iPhone対応
2008年6月中旬のことです。ソフトバンクが7月11日からiPhone 3Gを日本国内で独占的に販売するとの発表があります。思っていたより早いです。ちょうどソフトバンクBBでのCACHATTO販売が活発化していたため、これはチャンスと思いました。
iPod Touchを購入しにコジマ電機に走ります。さらに、ちょうど日本に来るというアメリカの友人に依頼して、向こうでしか入手できなかった初代iPhoneのSIMロックフリー版を持ってきてもらいます。ちなみに、入手はなかなか困難だったようです。そのiPhoneは、ロサンゼルスの怪しげな中華街のレシートとともにやってきました。
CACHATTOは、NotesやExchangeなどのメールやスケジュールのデータが、独自のウェブインターフェースで端末や経路にデータを残さずに利用できるものです。携帯電話や外部のノートPCから利用されています。それ以外にも、社内でのウェブページへのポータル機能を実装してきました。安全に社内のウェブページが利用できるというものです。
この機能は元々、スマートフォンが進化すれば、この機能が必須になると見込んで開発してきたものです。お客様が社内でアプリケーションをウェブ化しておけば、シングルサインオンとセキュリティ面はCACHATTOが担うというニーズが出てきます。iPhoneに実装されているWebKitベースのSafariブラウザが、この機能の実現にもっとも近いプラットフォームかもしれないという直感がしたのです。
試してみるとなんとも優雅に使えました。CACHATTOを踏み台にしながらiPhoneで社内でしか閲覧できないウェブが見事に操作できるのです。ピンチイン、ピンチアウト、ダブルタップによる表示部分の最適サイズ化。iPod Touchや初代iPhoneの非力なCPUや、未完成な日本語入力、指での文字入力操作には閉口しましたが、指で操作するウェブ閲覧には何とも抗しがたい魅力を感じました。
■日本初のThin Client (シンクライアント) 型iPhone用ビジネスアプリ
「急きょiPhone対応を進めよう。7月11日に間に合わせよう」すぐにiPhoneのSafariブラウザ用のインターフェースに開発着手します。緊急プロジェクトで、ウェブデザイナーが創ったインターフェースに機能がどんどんと入り込みます。6月末にはほぼ動き始め、初代iPhoneでWiFiでデモンストレーションしながら、そのポテンシャルをソフトバンクの方々にも話して回ります。そして7月11日にはiPhone 3G対応のプレスリリースをしました。
http://www.cachatto.com/news/20080711.html
いいじゃんネット、「CACHATTO」のiPhone 3G 対応を発表
~iPhone 3G でグループウェアを利用する法人向けモバイルソリューション~株式会社いいじゃんネット(本社:東京都千代田区、代表取締役:坂本 史郎、以下いいじゃんネット)は、法人向けモバイルソリューション「CACHATTO(カチャット)」が「iPhone(アイフォーン) 3G」(アップル社製)に対応することを発表いたします。対応製品の申し込みは2008 年8 月1 日から開始し、製品出荷を8 月中旬に計画しております。
これで国内で真っ先にiPhone対応ができたビジネスアプリが実現できたのです。それも専門的にはなりますが、端末にデータを残すActiveSync (アクティブシンク) という方式ではなく、データを残さないウェブベースのThin Client (シンクライアント) という方式でです。
■ソフトバンクサミット
2008年9月には「SoftBank Summit」というイベントが行われました。そこではソフトバンク関連のお客様2000名を集め、孫社長による基調講演や展示会などがあります。孫社長がiPhoneを取り上げて「2008年がモバイルインターネット元年」と打ち出したことで有名な、あのときです。iPhoneが売れるかどうかに懐疑的な人々が多かった頃です。
早々にiPhone対応が進んでいたCACHATTOは、ブースでの展示をさせてもらうだけでなく、孫社長が基調講演で取り上げてくれました。その後もエバンジェリストの中山五輪男さんによるデモや、ソフトバンクBBの溝口常務による紹介など、多数の取り上げをしてもらえました。他社からは「なぜCACHATTOさんばかり?」と、ぼやきすら聞かれたほどです。
※当時の記事がありました。
http://k-tai.impress.co.jp/cda/article/news_toppage/41746.html
またサイボウズやdesknet'sなど日本国内で普及しているグループウェアにも、ソリューションサービス「CACHATTO」との連携によってiPhoneはすでに対応済みであると孫氏は説明。iPhone専用アプリケーションを配信する「App Store」でもビジネス製品が続々登場していると補足する。
そこで孫社長が打ち出した方針が、「1社あたり最大5台のiPhoneを3カ月間完全無料で貸与する」というモニターキャンペーンでした。
使ってみなければ良さがわからない。だから3カ月使ってください。契約の義務はありません。なんとも太っ腹な提案でした。まさかそれがきっかけで、年末までに多数のCACHATTOデモ機をお客様に導入する恐怖が待っているなどとはつゆ知らずです。
以下次号・・・ 『連日3-4件の無償新規導入に会社が堪えられるのか』
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※20100325 07:32 以下次号のリンクを付けました。
※20100326 07:30 Typo修正。CACATTO→CACHATTO。