『楽観的でマゾ』創業経営者の大切な資質かも知れません
★2005年後半から2006年前半にかけての頃の話が続きます。考えてみると2004年の1月に始めた【朝メール】は、その頃にはだいぶ定着していたのですね。
■悲壮感は少ない本人
資金繰り難の時期は、「息をしていても罪を犯している」、そういった感覚でした。その状態を経ると、その後は意外と冷静なものです。一度経営的な底を見たというのでしょうか。大抵のことは幸せに感じますし、何とかなると思えるようなります。キーワードは、ある経営者に聞いた『楽観的でマゾ』であるというところでしょうか。
そもそも創業経営者などというのは、楽観的でなければ会社を自分で興して、うまくいくという「根拠のない自信」はありません。そして、マゾでもなければ、「ギリギリ耐えられるくらいのサイズで次々やってくる試練」を超えられなかったでしょう。実に見事に成長を促してくれるような順番で、ギリギリのサイズで課題たちがやってきます。順番が違っていたら、とてもじゃないけど破たんしていたでしょう。このギリギリさ加減に、人知を超えた神様の存在を信じてしまうほどです。
■プラスマイナスゼロ、でもぎりぎりプラス
シチズン時計に続いて立て続けに案件が出ます。2006年初頭はそれらの案件をクローズすることに全力をかけました。関西での大型案件を成立させるために、Kumarと新幹線で関西訪問の日々が続きます。そのときに話していたことを未だにKumarは懐かしそうにいいます。確かプロジェクトXで観たフレーズです。それを話していたのです。
「暗いトンネルの中を、ひたすらレールの向かっている方向、それを信じて走り続ける。
するとどこかの段階で、突然、明るい世界へと出ていくことができる。」
当時の心境はまさにその通りでした。ひたすら信じる方向に走り続けるしかありません。方向は直観というのか本能というのか、これが正しいと思うところへひたすら目が見えずに走り続ける感覚でした。
運よく、年度末にかけてその大型案件も成約します。2005年度を〆てみると、なんと営業利益が20万円という結果が出ました。まさにプラスマイナスゼロ、自社製品で事業が成り立った瞬間です。その結果をふがいないと思うのか、いよいよこれからだと思うのか。もちろん自分は後者でした。『楽観的でマゾ』の心境でしたから。
■類は友を呼ぶ
ちょうどそのころ、ごまかしの無い論理的な開発、それが習慣化したところに、1年ぶりにある人がやってきます。今の技術の中核を担ってくれているタッキーさん(ニックネーム)です。タッキーさんはカチャットサーバーを産業能率大学に導入した時の代理店担当技術者で、コンピュータ技術にかなり明るい人でした。
Kumarとともに、自社製品についての技術的な説明をします。IT業界に詳しい人に、開発体制刷新後の1年間の変化を報告したいという不思議な衝動もありました。英語で果敢にやりとりをするタッキーさん、彼を見ていて思いつきます。「こういう技術的に明るい日本人SEがいてくれるといいな。」
タッキーさん本人もこの1年での我々の変化について感じてくれていたのでしょう。「一緒にやりませんか」と、声をかけると、ちょうど前職の会社が方針を大幅変更したところで、自分のやりたいこととは方向性が変わったところだとのことです。とんとん拍子で話は決まり、2006年5月から参加してくれることになりました。
その後、「カチャットサーバー」は変化を加速することになります。名前もCACHATTOに刷新しました。類は友を呼ぶとかいいますが、まじめに論理的に開発してきた事実は、さらにまじめで論理的な人を呼び込んだのです。全てはうまく回り始めていると思い始めていた2006年の9月のことです。
「この会社変です。。」タッキーさんから直訴があります。
以下次号・・・『ブログ毎日発行を禊(みそぎ)にしていないだろうか:【朝メール】にも弊害がありました』
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※20100316: 次記事へのリンクを張りました。