関西万博で使った、EVバスの墓場を作った問題とは
去年、かなりの人で賑わった関西万博。僕は行かなかったのですが、開催前と開催後では、報道が一変しましたね。
そこで使われたEVバスが、ここに来て問題が大きくなってきているようです。
「乗客が怪我!路線バスで暴走事故発覚! 中国製EVバスでトラブル多発か 「EVバスの墓場」で話題のEVMJとは【独占取材】」(くるまのニュース)
以前、僕が聞いたのは、中国製のバスに決まりそうだったところを、日本製で行くぞ!と、日本製のEVバスに決まった、という報道でしたが。。。
そもそも、日本製のEVバスって、どこが作っているんだろうと不思議に思っていましたが、結局は中国製だったそうです。
「EVモーターズ・ジャパンが日本国内で販売した電気バスに何が起きているのか」(EVSmartBlog)
関係者からの情報で問題の取材を開始
筆者は今年8月中旬に関係者から情報をいただいて、EVMJのバスが多くの不具合で大変なことになっていることを知りました。また、国産と聞いていたバスが実はまだ一台も国内では組み立てられていないことも併せて知りました。
大阪万博に150台もの受注を受けていたことは知っていましたが、その後、自動運転の実証実験中に事故やトラブルが複数発生したこと、また今年4月に福岡県筑後市の小学校に納入された「国内初のEVスクールバス4台」が不具合多発で修理をしても何度も壊れて、結局EVMJに返品されていたことも報道で知りました。スクールバスを利用する小学生の保護者が、「あまりにもトラブルが多く安心して子どもを乗せられない」として西日本新聞に投書したことが報道されるきっかけとなったのです。
自動ドアが開閉しない、自動ブレーキ用カメラが脱落する、天井からの雨漏りに加えてタイヤハウスからも雨が吹き込む、ブレーキチャンバーが脱落する、ハンドル部品との摩擦によってブレーキホースが損傷するなどの不具合が多数報告されています。
自動車生活ジャーナリスト、加藤久美子氏は、こういう不正と言われても仕方のない問題を、多く取り扱っていることで有名なジャーナリストです。
このように、トラブルが起きていながら、小学生の保護者が投書するまで、どのメディアも報道していなかったのは偶然でしょうか。
さらに、
VMJが中国3メーカーから並行輸入という形で輸入してきたバスについてご紹介しておきましょう
なお、3社が作るEVバスは中国国内向けに販売されるバスとしての『工業情報化部(MIIT)』のリストには載っていません(=中国国内で販売できない)。輸出用としてのみ製造が許可されています。また、3社ともに「日本向けに販売するバスは今回初めて製造した」とのことです。
生産国である中国でさえ走ったことがないバスを「並行輸入」し、販売していた、走らせていたわけですね。
「EVモーターズ社長が引責辞任 EVバスで不具合、大阪万博でも運行」(日本経済新聞)
本誌では、社長が辞めたかのように書かれていますが、先出のくるまのニュースでは、社長は技術顧問として残っているようです。つまり、変わらないのではないか、と。
「「自称国産EVバス」の使用を早く止めてくれ...不具合だらけの中国製車両に乗らされるバス運転手たちの悲鳴」(President Online)
EVMJの車両は、大阪万博会場のほか、伊予鉄バス(愛媛県)や富士急グループ、阪急バス、東急バスなどの大手バス会社、川崎市や大分市、鹿児島市などの市営バス、東京都港区や渋谷区のコミュニティバスとしても数多く使われている。その合計は2025年12月時点で320台を超える。
これらの車両は、北九州市に本社のあるEVMJが供給し「日本製」を謳っているが、実際の製造は中国メーカーである威驰腾汽車(福建WISDOM)、南京恒天领锐汽車有限公司(KINWIN/YANCHENG)、愛中和汽車(VAMO)の3社が担っている。「人を座らせて設計したとは思えない」
このような不具合と日々戦うEVMJバスのドライバーの悲痛な叫びを紹介しておこう。
「私はウィズダムの大型も小型も運転したことがありますが、とくに小型の運転席は非常に狭く乗りにくい。人を実際に座らせて設計したとは思えません。足元は狭く動きに制限があります。腰をねじって捻挫したドライバーもいます。席の位置調整がしづらく適切な運転姿勢をとることができません。
不自然な運転姿勢で長時間乗務するのは安全運行上も問題があると思いますし、何よりドライバーたちが本当に辛い状態です。長いときは1日15時間乗務しますからね」(ウィズダム製)
「クーラーの風が運転席に来ないので夏場暑くて大変です。熱中症になりかけた同僚もいましたよ。冬場もひどいです。寒いので22℃設定でヒーター入れると朝出発して50km走っただけで充電は52%。1充電あたりの航続距離は290kmとのことですが当然そんな距離は走らない。良くて半分、平均すると80~120km。
充電が22%になったとき、会社に連絡したら『暖房を切れ』という指示でした。なお20%を切ると自動で暖房が切られて、15%を切ると出力も制限されます。私も寒かったですが、お客様にも寒い思いをさせてしまいました。しかしなぜか会社はこのバスの使用を止めないし改善しようともしません」(ウィズダム製)
運転手のみなさんが気の毒過ぎますね。読むに耐えかねる「事件」だと感じました。
個人的には、「並行輸入」のEVに多くの補助金が注ぎ込まれていることにも違和感を憶えます。輸入車であっても、きちんとディーラーが存在し、もちろん本国でも堂々と走られているものならいざ知らず、本国でも認められていない並行輸入車に、さらに2019年に設立された企業に、多額の税金を注ぎ込んだ責任者は?なんて、ことも感じてしまうニュースでした。