AIの天才少年・彭志輝氏が立ち上げたヒューマノイド会社AgiBotが量産体制に入った
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上海智元の商用ヒューマノイドAgiBotの全体像と日本の自動車メーカーとの連携可能性【中国語で調査:サンプル調査報告書】
を要約したものです。
中国・上海発のロボットスタートアップ「智元ロボット(AgiBot)」が、わずか2年で人型ロボットの量産体制を確立し、業界の注目を集めています。同社は2023年2月に設立され、2025年1月時点で通用汎用ロボット1,000台の量産出荷を達成しました 。本記事では、AgiBotの技術力とビジネスモデル、そして日本の自動車メーカーとの連携可能性について述べたいと思います。
創業者の背景と企業ビジョン
AgiBotの共同創業者でありCTOを務める彭志輝(ポン・ジーフェイ)氏は、ファーウェイの「天才少年計画」に参加し、AIチップやアルゴリズム研究に従事した経歴を持ちます 。同社は「AI+ロボットの融合イノベーションによる汎用型エンボディドロボット製品と応用エコシステムの創造」を掲げ、次世代の汎用ロボットによる新産業のリーディングカンパニーを目指しています 。
製品ラインナップと技術力
AgiBotは主に以下の3つの製品ファミリーを展開しています:
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遠征シリーズ(Yuanzheng):ビジネス用途を想定した二足歩行の人型ロボット。初号機「遠征A1」は、産業現場でのボルト締め、車両検査、実験室作業などに対応可能です 。続く「遠征A2」シリーズは、針の穴に糸を通す繊細な作業もこなせる設計で、工業的な力強さと高精度なマニピュレーションを追求しています 。
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灵犀シリーズ(Lingxi):家庭や教育分野への普及を見据えた小型人型ロボット。第一弾の「灵犀X1」は、全スタック開源(オープンソース)ロボットとして、研究者や開発者向けにハードウェア設計図や制御ソフトのコードを公開しています 。
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捷尘シリーズ(JueChen):商業清掃用のロボットで、AgiBotの初の商用清掃ロボット「C5」が含まれます 。
これらのロボットは、AgiBot独自の「具身智脑(EI-Brain)」フレームワークを搭載し、クラウドとローカルでのAI処理を組み合わせた高度な知能を実現しています。また、自社開発の「WorkGPT」は、マルチモーダルな大規模言語モデルで、ロボットのタスク理解と実行能力を強化しています 。
生産体制とデータ戦略
AgiBotは、上海市臨港新片区に自社工場を構え、2024年末までに約900台のロボットを生産しました 。同社はまた、4000平方メートルの「AgiBot World」データ収集工場を運営し、家庭、キッチン、工場、スーパー、オフィスの5つのシーンを再現してロボットの訓練を行っています 。この施設で収集されたデータは、AgiBot Worldとしてオープンソース化され、ロボット開発コミュニティの活性化を目指しています 。
日本企業との連携可能性
AgiBotは、BYDや北京汽車、上海汽車など中国大手自動車企業からの出資を受けており、産業界からの期待が高い企業です 。日本の自動車業界にとって、人型ロボット技術の進展は製造現場の自動化高度化や新規事業創出に直結する重要テーマです。AgiBotの技術力と生産体制は、日本企業にとっても魅力的なパートナーとなり得るでしょう。