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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

カリフォルニア高速鉄道が入札希望者からの事前インプットを公募

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米国の高速鉄道関連の投稿が続きます。

先ほど米国の高速鉄道専門ニュースサイトHigh Speed Railが運営しているビデオニュースの直近の分を見ていたところ、最後の部分でカリフォルニア州高速鉄道局(California High-Speed Rail Authority)がRFPの準備用に“Request For Expressions of Interest”の提出を求め始めたと報じていました(1分18秒ぐらいから)。

カリフォルニア州高速鉄道局で公開されていたので、中を確かめてみたところ、概要は以下のようになります。
California High-Speed Rail Authority Opens Doors to Private Interest
Private Sector to Describe Interest in Nation's Largest Infrastructure Project

  • 高速鉄道は時速220マイル以上を達成。旅客サービス事業には国・州の補助金は付かず独立採算。メンテナンス設備、車両基地を含む。計量可能な雇用を創出。
  • Request For Expressions of Interest(RFEI)は高速鉄道建設に際して同州が法的に必要とするRequest for Qualifications(2011年春予定)、Request for Proposal(2011年末予定)とは異なり、カリフォルニア州高速鉄道局が調達プロセスの最適化を行えるように、関連事業者からできるだけ多くの情報を収集することが目的。
  • RFQ、RFPへの参加者はRFEIを提出しないで済ませることもできるが、将来においてRFQ、RFPへ参加の意思があるのであれば、RFEIを提出することが望ましい。
  • 対象となる事業は以下の2つ。
  • Madera、Fresno、Kings、Kern、Tulareに位置する"Initial Construction Section" (ICS)と呼ばれる区間の設計および建設。総工費55億ドルを想定。2017年完成予定(補注:これにはファイナンシング、オペレーション、メンテナンスは含まれていない。この区間だけ建設を急ぐ理由は連邦政府から割り当てられた予算-いわゆるAmerican Recovery and Reinvestment Act Funding-の消化期限が決まっているため)。
  • 計画において"Phase 1"と規定されている残りの区間の設計、建設、ファイナンシング、オペレーション、メンテナンス。Phase 1とはロサンジェルス&アナハイムとサンフランシスコを結ぶ総延長500マイルの計画。2020年完成予定。

■Request For Expressions of Interestを行う理由

RFQ、RFPのプロセスに入る前に、こうした事前インプットを求めるのは、ICSの区間の設計・建設にしても、Phase 1の残りの区間の設計・建設・ファイナンシング・オペレーション・メンテナンスにしても、カリフォルニア州に高速鉄道の発注の経験がないために、最良の提案を受け入れるRFPの枠組みが見極めきれないからだと思われます。

RFEIの書類の中では、メンテナンス施設、駅、周辺施設などと絡めたコスト削減および収益創出戦略の提案も歓迎すると記しています。大胆な発想では車両製造工場とメンテナンス施設を一体にして、メンテナンスコストの中長期的な削減を図るといった提案もありなのではないかと思われます。また、JRが広く行っている駅と商業施設の一体運用によって収益源を多様化するというアプローチもあるでしょう。そのようなビジネスモデルを含めた提案を受け入れられるように、RFPの様式を定める前に事業者から広くインプットを募りたいということのようです。

これまでカリフォルニア高速鉄道の具体的な進捗はベールに包まれていましたが、このようにオープンにすることが明らかになりました。何らかの斬新な方策やユニークな技術などを持っている企業は、今回のRFEIがよいチャンスになります。

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