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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

日替わりバリュー・デリバリー

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藤田田氏の「ユダヤの商法」(ベストセラーズ)を読むと、「食べ物の商売は、顧客が毎日必ず口にして消化するものを扱うわけだから、ビジネスチャンスが恒常的にある」という意味のことが書いてあります。なるほど食べ物は食べてしまえばなくなります。また買わなければなりません。顧客を自分のチャネルに固着化させてしまえば、毎日売上が発生します。

この延長で「顧客に日替わりで価値を提供できる商売は強い」と言うことができるのではないかと思います。それでピンとくるのがテレビ局。特に地上波。
テレビ業界は規制産業なので、分厚い既得権益が伝統的なプレイヤーに独占されているということは置いておくとして、彼らが比較的高い利益率(売上高営業利益率で8~10%。日本企業の水準としては高い部類だと思います。またよく知られている社員の年収の高さという事実もあります…)を保持していられる理由の1つに、彼らが毎日違ったプログラムを家庭のテレビに向けて送り届けているという事業スタイルがあると思います。企業が顧客に対して毎日価値をデリバリーするという、そのスタイルが高収益のポイントなのではないかと思うわけです。

これに対して「オンデマンド」は弱いです。オンデマンドは顧客が必要とする時だけ、必要とするものをかっちり送り届けるわけですが、「毎日お茶の間にデリバリー」と比べると圧倒的に収益機会は少ないです。

ここで話はGyaOに飛びます。先ほどGyaOを見ていてふと「テレビ局のブランドアイデンティティを支えているのは、ひょっとすると局アナなのではないか?」と思ってしまいました。
朝フジテレビをひねると大塚さんと高島アナの顔が出てきて「あぁ朝7時台なんだな」などと思う。一緒に「あぁフジテレビなんだな」などということも認識しています。それがウィークデーには毎日。大塚さんは局アナではないですが、”経験の連続性”(実はブランド価値の根源)を保証している要素として高島アナの存在は大きいです。TBSをひねれば、みのさんがいる。みのさんは置いておくとして、竹内香苗アナや柴田秀一アナがそばにいつもいることでその時間帯のTBSの差別化が成立しています。

これが仮に局アナがまったくいない番組として構成されていたら、「あぁフジだなぁ」「おぉTBSじゃん」という印象はかなり薄まるのではないかと思います。
1日に流れるすべてのプログラムに局アナが登場しているわけではありませんが、ニュースを含め要所要所に登場することで、日テレらしさ、フジらしさ、TBSらしさのようなものができあがっている。そういう風には思いませんか?
仮に局アナがまったく登場しないチャンネルがあったとしたら、その局に親しみを覚えるでしょうか?

ということで、上に記した日替わりバリューを含めて、GyaOが地上波テレビ局に準じた存在になるためには、第一に局アナを養成していろんな番組を仕切らせる、第二に番組編成で日替わり要素(非オンデマンド)を組み入れる、ことが必要なのではないかと思ってしまいました。僭越ながら…。

[付記]
先ほど藤田田氏の「ユダヤの商法」をアマゾンで確かめてみたら、古書が1万円以上の値がついていますね!売ろうかな。

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