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株式会社インフラコモンズ代表取締役の今泉大輔が、現在進行形で取り組んでいるコンシューマ向けITサービス、バイオマス燃料取引の他、これまで関わってきたデータ経営、海外起業、イノベーション、再エネなどの話題について書いて行きます。

ポジティブフィードバックのパスのデザインが重要だ

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「マーケティング2.0」(渡辺聡監修、翔泳社)を遅ればせながら読みました。
自分の現在の関心領域は、インターネット上においてユーザー/顧客が社会ネットワーク的に見えないコミュニティを組成する際に、主たるメカニズムとして機能しているのは何なのかということです。
そういう点で気になったのが以下のフレーズ。

-Quote-
 従って、まず企業は既存ユーザーの購買後の満足要因を徹底的に探らなければなりません。これは、コンテンツ設計で現在重きを置いていると考えられる潜在ユーザーの購入シナリオ(購入コンテクスト)から、既存ユーザーの使用シナリオ(使用コンテキスト)に転換することを意味します。次に、前項の図3(以下注を参照)で示した、購入プロセスのポジティブフィードバックを促進させることを考えなければなりません。
 「マーケティング2.0時代のウェブマーケティング、ウェブブランディング」(廣中龍蔵)
-Unquote-

このフレーズ自体は、消費者行動がAISCEASへと変化しているなかで、使用体験をシェアするユーザー/顧客からフィードバックを得た上で、それを製品開発へと活用していくことができる、ヒッペルの言う民主化するイノベーション、プラハラードのいう価値の共創へと、マーケティング活動の比重を移していかなければいけないと主張しているものです。個人的に刺激になったのは、「ポジティブフィードバックのパスのデザインが非常に重要なんだろうな」ということでした。

この時、そのパスとは、少なくとも以下の4つが複合している、あるいは階層構造を成しているように思います。また、個々のパスが使われるタイミングは相応にずれます。

 ①ユーザー/顧客が当該製品/サービスに関する認知を形成する過程で脳内に生じるパス
 ②インターネット上において、当該製品/サービスの関連サイトを発見し、何度かアクセスを繰り返すという意味におけるパス
 ③リアルな空間におけるリアルな行動として、当該製品/サービスに触ったり、確かめたりしつつ、最終的には購入に至るパス
 ④当該製品/サービスを使用していくなかで、体が覚えて、経験として定着する際に利用されるパス

このパスのデザイン、アマゾンにおいて毎月10冊ぐらい買うような人の場合を思い浮かべてみると(自分を想定)、インターネット上で美しく統合されています。けれどもこれはアマゾンにおける書籍購入の話。私の周囲には年がら年中JALに乗って米国や欧州に行っている人がいますが(ビジネスクラスに常にアップグレード可能なぐらいマイレージがたまっている)、そういう人におけるパス、おそらく日本航空がデザインしたであろうパスは、インターネットから”はみ出て”います。例えば、成田空港のサクララウンジなんかも含まれます。また利用金額は1桁は違います。

そういう風なインターネットから”はみ出ている”パスをも統合するデザインというのが、おそらくあるんだろうな思うわけです。そしてそれはWeb2.0のメカニズムを使うものであってもよいわけで…。

(注:「CGM、検索エンジン出現による購入プロセスの変化」と題された図で、消費者行動を"Awareness->Search->Consideration->Preference->Purchase->Exchange"の6プロセスで説明したもの。AISASあるいはAISCEASとほぼ同等の内容。ExchangeからConsiderationに矢印が伸びていて、それがポジティブフィードバックであるとする)

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