2026年までにアジア太平洋地域の60%の企業がオープンソースAI基盤モデルを活用
IDCが2025年2月12日に公表したレポート「IDC FutureScape: Worldwide Developer and DevOps 2025 Predictions -- Asia/Pacific (Excluding Japan)」によると、2026年までにアジア太平洋地域(APEJ)の60%の企業がオープンソースAI基盤モデルを活用してアプリケーションを開発すると予測しています。
IDCの「AP Software Survey 2024」では、アジア太平洋地域の企業の41%がすでにオープンソースの取り組みを開始しており、コミュニティの支援を活用して開発のスピードアップを図っています。
「AIと自動化の進化が業界全体に大きな変化をもたらしており、今後5年間でソフトウェア開発の効率性向上とAIの活用が急速に進むでしょう」と、IDCアジア太平洋地域のシニアリサーチマネージャーであるDhiraj Badgujar氏は述べています。
ローコード/ノーコード開発と生成AIの普及
2027年までに、ローコードやノーコード開発技術を活用したアプリケーションの60%が生成AI機能を組み込むとIDCは予測しています。これにより、企業はより迅速な開発と市場適応が可能になり、コスト削減にも寄与すると見込んでいます。
これらの変化に伴い、新たな運用ルールの確立が求められます。中でも、AIコパイロットやAIアシスタントの管理が重要課題となると指摘しています。IDCは、2027年までにAPEJの企業の50%が、生成AIを活用したコパイロットやデジタルアシスタントの管理技術を必要とすると予測しています。
AIが進化するDevOpsとソフトウェア開発
IDCの予測によると、AIの活用はDevOpsやソフトウェア開発の各分野にも大きな影響を及ぼすとしています。
2027年までに、アプリケーションのセキュリティ問題の修正コードの70%がAIによって生成され、ソフトウェアの脆弱性修正の時間が数日単位に短縮されると予測されています。さらに、2028年までには、MLOps、LLMOps、DataOps、CloudOpsと統合されたDevOpsツールを55%の企業が導入し、ソフトウェア開発におけるAIの価値創出を最適化すると予測しています。
また、2029年までには、生成AIを活用したソフトウェアテストツールが80%のテストを自動生成するようになり、コードの品質とカバレッジが向上することが期待されています。一方、こうした進化に伴い、ガバナンスの強化が不可欠になるとしています。
ソフトウェア開発には生成AIの導入が不可避に
「AIを活用した新たな開発ツールがソフトウェア開発の標準となりつつあります。生成AIは新たな機会をもたらす一方で、開発者やDevOpsの専門家はその強みと課題を正しく理解し、適切な戦略を講じる必要があります」とBadgujar氏は指摘しています。
また、自然言語インターフェースやAIエージェントの進化により、開発者間のコミュニケーションが容易になり、モダナイゼーションの促進やコスト削減が期待されます。企業は、AIの活用を推進しつつ、適切な管理体制を整えることで、競争力の向上を図るといったことが可能になるとしています。
今後の展望
IDCの予測では、2025年以降も生成AIの進化が加速し、ソフトウェア開発の在り方が大きく変わるとされています。AI主導の開発環境が標準化することで、企業のIT投資や人材戦略にも影響を与えていく可能性があります。
今後、企業はAIの利点を最大限に活用するため、戦略的な導入計画を策定し、適切な技術基盤を構築する必要があります。オープンソースAIを活用することで、独自の技術力を高めながら、コスト削減と迅速な開発を両立することが求められます。一方、AIの倫理的な側面やガバナンスの確立も重要な課題となります。AIが自律的に判断をする時代において、透明性と説明責任を確保する仕組みを整備することも重要となります。
これらの課題を克服しながら、企業は成長とイノベーションを推進し、AIを活用した次世代のソフトウェア開発を通じて、今後の競争力を高めていくことが求められていくでしょう。
出典:IDC 2025.2