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クラウド市場は2024年に3,300億ドルへ --生成AIが成長の半分を牽引

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2024年、クラウドインフラサービス市場は大きな成長を遂げました。Synergy Research Groupの最新データによると、2024年第4四半期における企業のクラウドインフラサービスへの支出は910億ドルに達し、前年同期比で170億ドル増加(22%増)しました。年間市場規模は3,300億ドルに到達し、2023年から600億ドル、2022年からは1,020億ドルの増加となりました。

成長の背景には、2022年末にリリースされたChatGPTをはじめとする生成AIの台頭があると指摘しています。本データによると、過去2年間の市場成長の約半分が、生成AI関連のプラットフォームサービス、GPU as a Service、およびその他のクラウドサービスの拡大が挙げられています。

主要クラウド事業者の動向

市場の競争環境では、Amazonが引き続き優位性を維持し、マイクロソフトとグーグルがより高い成長率を記録。2024年第4四半期の世界市場シェアは、Amazonが30%、Microsoftが21%、Googleが12%となっています。

また、"Tier 2"クラウドプロバイダーの中でも、CoreWeave、オラクル、Snowflake、Cloudflare、Databricksといった企業が高い成長率を示しました。CoreWeaveはAIおよびGPUサービスの強化により、クラウドプロバイダーのトップ20にランクインしました。

パブリッククラウドの支配力が強まる

2024年第4四半期のクラウドインフラサービス市場の収益は906億ドルに達し、年間収益は3,304億ドルに到達しました。市場の大部分を占めるのは、パブリックIaaS(Infrastructure as a Service)とPaaS(Platform as a Service)であり、第4四半期には24%の成長を遂げています。

パブリッククラウド市場では、大手3社(Amazon、Microsoft、Google)の影響力がますます強まっており、市場全体の68%を占める状況となっています。

地域別市場の成長傾向

地域別に見ると、クラウド市場は全世界で堅調な成長を見せています。ブラジル、スペイン、イタリア、インド、日本では現地通貨ベースで世界平均を上回る成長を記録しました。

一方で、米国は引き続き世界最大のクラウド市場としての地位を維持しており、APAC地域全体の市場規模を大きく上回っています。2024年第4四半期の米国市場の成長率は23%に達しました。

ヨーロッパ市場では、英国とドイツが依然として最大規模を誇っていますが、高成長を遂げたのはアイルランド、スペイン、イタリアでした。

今後の展望

シナジー・リサーチ・グループのチーフアナリストであるジョン・ディンズデール氏は、次のように述べています。

2024年第4四半期もクラウドサービス市場は力強い成長を続け、年間成長率は2023年より4ポイント高い水準となりました。これほど大規模な市場での成長加速は非常に注目すべきものです。

また、ChatGPTの登場がクラウド市場に及ぼした影響についても次のように分析しました。

ChatGPTが2022年末にリリースされて以降、生成AIの活用が進み、2023年はサービス開発を後押ししました。そして2024年には、より積極的な市場成長をもたらしました。私たちの分析では、ChatGPTの登場以降、クラウドサービス収益の増加の少なくとも半分は、生成AIおよびGPUサービスの導入、あるいは既存クラウドサービスのAI活用による強化が要因となっています。

今後も生成AIの進化とともに、クラウド市場の成長が続くと予測されます。企業のデジタル変革が加速する中、クラウドプロバイダー各社の戦略とテクノロジーの進展にこれからも注目していきたいと思います。

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出典:Synergy Research Group 2025.2

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