企業はIT業務の内製化を加速
企業はIT業務の内製化を加速させています。この傾向は、企業運営やデジタルトランスフォーメーション(DX)の戦略において重要な役割を果たす領域で特に顕著となっています。
IDC Japan株式会社は2025年1月22日、国内企業のIT組織がどのように内製化を進めているのか、その現状と課題を調査した結果を発表しました。
IDC Japanが2024年5月に実施したアンケート調査では、国内の従業員300人以上の企業に所属し、IT戦略や情報システム部門の管理に携わる300名を対象にしています。調査によると、日本全体の労働力不足が深刻化する中で、IT部門の業務範囲は従来のシステム構築や運用から、経営や事業に直結するタスクへと拡大していることが明らかになっています。
また、調査対象の企業の多くは、IT業務の内製化を積極的に進める一方で、外製化とのバランスや規程整備が課題となっています。特に、業務プロセスやDX戦略の中核を担う領域では、内製化の比率が高いことが確認されました。
調査結果:内製化が進む領域と課題
IT業務の中で内製化が進む領域は以下の通りです。
- 業務プロセスの改善
- DX戦略の策定と実行
- データ分析とその活用
これらの領域は、事業運営や顧客対応のスピード向上に直結するため、内製化が進んでいると考えられます。一方で、システム保守やヘルプデスクといった下流工程については、外製化の傾向が強いことも明らかになりました。これらの業務は標準化が容易であるため、外部委託がコスト効率の面で有利と判断される場合が多いようです。
さらに、今後の計画として、以下の分野で内製化を強化しようとする企業が増加する傾向が見られました。
- 社内アプリケーション開発の下流工程
- データベースやDWHの管理
- 情報セキュリティの対応
この動向は、企業が市場や顧客のニーズの変化に迅速に対応できるデジタル基盤を構築し、運用しようとしている姿勢を示しています。
IDC JapanのTech Buyerリサーチマネージャー、鈴木剛氏は以下のように述べています。
「国内企業は、内製化を進めるにあたり、組織全体の役割や職務を明確化(規程化)し、新興テクノロジーの活用を通じてその改善に取り組む必要があります。これにより、効率的かつ効果的なIT業務の運用体制を確立できるでしょう。」
今後の展望
内製化の推進は今後さらに重要性を増すと予測されています。特に、資本集約型業種や労働集約型業種の特徴に応じた戦略が求められています。企業はIT業務の内製化を進めるだけでなく、規程化・標準化を適切に行い、業務の効率性と柔軟性を両立させる必要があります。
デジタル基盤の整備は、企業が競争優位性を確立するための重要な鍵です。市場や顧客のニーズが変化するスピードが加速する中で、国内企業がどのように内製化を進め、規程整備を行うかが、今後の成功を大きく左右することでしょう。
出典:IDC Japan 2025.1.22