世界のハイパースケールデータセンターのトップ20拠点(含む東京)で全体の6割のキャパシティ
シナジーリサーチは2024年8月14日、「国別のデータセンターキャパシティに関する調査結果」を公表しました。
Synergy Identifies the World's Top 20 Locations for Hyperscale Data Centers
シナジーリサーチの調査によると、わずか20の州や都市圏が、世界のハイパースケールデータセンター容量の62%を占めていることが明らかになりました。特に、米国のノーザンバージニア州と中国の北京大都市圏は、世界全体の22%を占め、トップの座を占めています。これに続くのは、アイルランドのダブリン、米国のオレゴン州およびアイオワ州、そして中国の上海です。
上位20の市場のうち、13が米国に位置し、4つがAPAC(アジア太平洋)地域、3つがヨーロッパにあります。この次の20の市場は、世界のハイパースケールデータセンター容量の18%を占め、こちらではヨーロッパとAPAC地域の存在感が強まっています。
米国市場がハイパースケールデータセンター上位市場に多数含まれているのは、主に2つの要因によります。まず、世界のハイパースケールオペレーターの60%が米国に本社を構えていること、次に、米国が世界のクラウド市場の収益の約半分を占めていることです。
今後も米国と中国がデータセンターの容量面で主導権を握り続けると予測されていますが、マレーシア、インド、スペインなどの国々も今後の成長市場として注目を集めるようになると予測しています。
本調査は、世界の主要なクラウドおよびインターネットサービス企業19社のデータセンター拠点を分析したもので、SaaS、IaaS、PaaS、検索、ソーシャルネットワーキング、eコマース、ゲームなどの分野における最大手オペレーターが含まれています。特にAmazon、Microsoft、Googleが最も広範なデータセンターフットプリントを持ち、これら3社が世界のハイパースケールデータセンター容量の60%を占めています。
この3社に続くのはMeta(旧Facebook)、Alibaba、Tencent、Apple、ByteDanceなどの企業です。シナジーの成長予測は、これらのハイパースケールオペレーターが計画中のデータセンターのパイプラインに大きく基づいており、現在510施設が開発中または計画中となっています。
シナジーリサーチグループのアナリストは、ハイパースケールインフラの立地選定に影響を与える要因について、
顧客への近接性、不動産の入手可能性とコスト、電力供給の入手可能性とコスト、ネットワークインフラ、ビジネスのしやすさ、地元の財政的インセンティブ、政治的安定性、そして自然災害の影響を最小限に抑えることが重要です
と述べています。
これらの要因により、ロンドンやニューヨークのような大都市が不利になり、オレゴン州やアイオワ州、ネブラスカ州のような人口密度の低い地域が有利になることが多いといいます。ハイパースケール企業がエッジ向けインフラを収容するために使用する小売コロケーションデータセンターとは異なる市場の構成となるのが特徴です。今後数年間もこれらの選定基準は変わらないものの、東南アジアやラテンアメリカの新興市場での高成長が進むことで、市場のトップ構成が変化すると見込まれています。
出典:シナジーリサーチ 2024.8.14