成長志向型の資源自律経済戦略案
経済産業省は2023年3月27日、「第7回 成長志向型の資源自律経済デザイン研究会」を開催しました。
この中から、成長志向型の資源自律経済戦略案の概要について、とりあげたいと思います。
成長志向型の資源自律経済の確立に向けた問題意識
■資源制約・リスク:資源枯渇、調達リスク増大
世界のマテリアル需要増大しており、多くのマテリアルが将来は枯渇の懸念があります。特に、金、銀、銅、鉛、錫などは、2050年までの累積需要が埋蔵量を2倍超となっています。
また、供給が一部の国に集中しているマテリアルがあり、資源国の政策による供給途絶リスクも指摘されています。
日本は先進国の中でも自給率が低く、日本の資源の購買力の低下に伴う調達リスク増大の懸念が高まっています。
■環境制約・リスク:廃棄物処理の困難性、カーボンニュートラル実現への対応の必要性
廃棄物処理の困難性が増大しており、国際的な廃棄物の越境移動制限が厳格化しています。その一方で、日本国内では最終処分場に制約が出ています。
こういった状況の中での•カーボンニュートラル実現:原材料産業によるCO2排出の削減が不可欠となっています。
■成長機会:経済活動への影響
サーキュラーエコノミー市場の大幅な拡大の可能性があり、サーキュラーエコノミー市場への成長資金が流入しています。
Black Rockのサーキュラーエコノミーファンドは2022年8月時点で19億ドル規模まで成長しています。
資源自律経済への対応が遅れると多大な経済損失の可能性があり、マテリアル輸入の増大と資源価格高騰による国富流出、サーキュラーエコノミー性を担保しない製品の市場排除の懸念も指摘しています。
サーキュラーエコノミーへの非連続なトランジション
この中で注目されているのが、サーキュラーエコノミーです。
リニアエコノミーが大量生産・大量消費・大量廃棄の社会システム(動脈産業の活動を静脈産業がカバーする一方通行の関係)に対して、サーキュラーエコノミーは、市場のライフサイクル全体で、資源の効率的・循環的な利用(再生材活用等)とストックの有効活用(製品のシェアリングや二次流通促進等)を最大化する社会経済システムと位置づけています。
サーキュラーエコノミーを通じた「新しい成長」ではさまざまな期待値が高まっています。
成長志向型の資源自律経済の確立に向けた総合パッケージは、
■競争環境整備(規制・ルール)、■サーキュラーエコノミー・ツールキット、サーキュラーエコノミー・パートナーシップの立ち上げ(産官学連携)の3つでまとめています。
出典:経済産業省 第7回 成長志向型の資源自律経済デザイン研究会 2023.3