エンタープライズクラウドを取り巻く市場感
エンタープライズクラウドを取り巻く市場感をメモベースで少しまとめてみたいと思います。
クラウド事業者の競争環境は、AWSやMicrosoftの2強を中心に市場は拡大してい中、中長期的には、クラウド事業者の淘汰・再編後、寡占化が進んでいくと予想されます。
その一方で、IBMや富士通等の大手SI事業者等のハイブリッドクラウド事業による収益性の維持拡大を目指して行く動きが進んでいくとみられます。
国内の事業者では、NTT Comなどの通信事業者は、ネットワークやデータセンターなどインフラ事業者の強みを生かしたサービスを展開し、サービスモデルを拡大していく流れも出ていくでしょう。
パブリッククラウドはコモディティ化し、エンタープライズ領域での採用が加速しています。SAPに代表される基幹系システムのクラウドへの移行の流れも顕著となっています。
また、IoTやAI等の、デジタルトランスフォーメーションより、クラウドの流れをさらに後押しする傾向も出てきています。
情報システム部門のシステムの予算は、おそらく、今後減少が進んでいくと見られ、デジタルビジネスの推進する事業部門の予算化が拡大していくとみられます。
クラウドサービスのトレンドでは、クラウドネイティブ化、APIエコノミーなど流れが進むと考えられます。また、サービスのインテリジェント化や、さらには、ソフトウェア(SDx)から、AI-Defined Infra化の進展。AI機能を搭載したクラウドサービスが数年後は主流になっていくのかもしれません。
クラウドインフラは高度化し、SD-WAN、オンデマンド接続、5Gネットワークなど、インフラ重視の志向も出てくるでしょう。
仮想サーバ主流から、コンテナやサーバレスアーキテクチャへの注目も高まっています。また、基幹系のクラウドへの移行が進むことで、ベアメタルのニーズも、これから伸びていくと予想されます。
これまで、システムの更改時に、クラウドの採用を優先的に検討する「クラウドファースト」の流れが進んでいましたが、クラウドを標準で採用する「クラウドノーマル」、さらには、クラウドしか採用しない「クラウドオンリー」といった企業も増えていくことになるでしょう。
エンタープライズ分野でのクラウドの採用は、当面、適材適所のハイブリッドクラウドの採用が進むとみられますが、ハイブリッドクラウドによる、セキュリティリスクやネットワークコストなど、費用増などが懸念されるようになります。
また、シャドーITによる個別最適から、全体最適によるクラウドによるガバナンスとセキュリティレベルの向上を目指したハイブリッドクラウドモデルが主流になっていくと考えられます。
ただ、クラウドサービスへの移行がいっきに進むのではなく、当面はオンプレミスシステムを、IT全体戦略(最適化)を策定した上で、数年かけてのマイグレーションの流れになっていくのではと考えています。
こういった動向を踏まえ、各クラウド事業者は、個社別によるコンサルティング型の質を重視したアプローチと、マーケティングによる量を重視したアプローチと、二極化していくと考えています。ポートフォリマーケティングや、ソリューション型のモデルを考慮したアプローチが重要となっていくでしょう。
また、チャネル戦略では、直販によるエンゲージメント型や、CxO目線に立ったアプローチはさらに重要度を増すとともに、デジタルビジネスを推進する部署に対して、どれだけ入り込めるかも大きな鍵となるでしょう。
その一方で、OpenStackに代表されるようなコミュニティ戦略も重要になります。コミュニティをリードできる事業者が、競争環境を優位に進めていけると考えられます。
また、パートナーとの関係では、パートナーセールスよりも、むしろ、パートナーアライアンスのモデルによる補完性が重要となるでしょう。アライアンスは、国内の枠組みでなく、グローバルファーストでのアライアンスの視点が重要です。
と、メモベースでまとまりがありませんので、折をみて、少ししっかりとまとめてみたいと思います。