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スマート・マシーン(1)スマート・マシーンとは?

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クラウド、モバイル、ソーシャル、ビッグデータに続き、新たなITキーワードとして「スマート・マシン」への注目が集まっています。

TOKYO FM の「10月31日(木)●知能と学習能力を持つ“スマート・マシン”時代の到来で、何を失う?! 」でお話しと準備させていただいたシナリオをもとに、スマート・マシーンについて、何回かに分けて整理をしてみたいと思います。

調査会社のガートナージャパンは2013年10月16日、日本におけるテクノロジのハイプ・サイクル:2013年を公表しました。

ハイプ・サイクルでは、ビッグデータが「過度な期待のピーク期」に位置づけら得ています。ビッグデータは、データをインテリジェンス化し、意思決定をするための価値あるデータに仕立てていく必要があり、そのために、高度な統計、機械学習、ITスキル、的確な判断力を持つ「データサイエンティスト」の重要性が指摘されています。

しかしながら、データサイエンティストの人材育成には豊富な経験値と中長期的な育成プランが必要であり、その一方で分析ツールなどのテクノロジーは進化し、人間自身がデータサイエンティストのように高度な知識を必要としなくても容易に分析可能なツールが登場してくることが予想されます。

さらには、マシンデータ、つまり、データ処理をするデバイス(マシン)そのものが知能と学習能力を持ち、マシン自らが判断できるようになる「スマート・マシン」が中長期的には主流となっていくと考えられます。

クラウドやデバイスの進化、モノのインターネットであるIOT(Ineternet of Things)もスマート・マシーンの普及を後押ししていると言えるでしょう。

スマート・マシーンとは?

ガードナー2013年10月15日に発表した「2014年の戦略的テクノロジ・トレンドのトップ10」の一つに「スマート・マシン」をあげています。

スマートマシンとは、知能と自律的な学習機能を備え、状況に応じて自らが判断し適応し、人間にこれまでやってきたことまで実行する新しい電子情報機器、電子機械を指しています。

ガートナーでは、新しいハードウエア、アルゴリズム、ネットワーク、コンテンツ(ビッグデータなど)の4つの力が合流し、スマート・マシンが現実のものになったと指摘しています。

ガートナーでは、スマート・マシンについて、

コンテキスト・アウェアなシステム、インテリジェントなパーソナル・アシスタント、スマート・アドバイザー (IBM Watsonなど)、先進のグローバル産業システム、また初期の自律走行車などの普及により、スマート・マシンの時代は2020年にかけて発展するでしょう。

スマート・マシンの時代は、ITの歴史において最も破壊的なものになるでしょう。ITによる実現が期待されながらも、これまでは「人でなければできず、マシンには不可能」と思われていたさまざまなビジョンの中からも、とうとう現実化されるものが出てきました。

ガートナーは、成功に向けたスマート・マシンへの個人レベルでの投資とコントロール、利用が広がると考えています。企業レベルでのスマート・マシンへの投資も進むでしょう。

スマート・マシンが導く革新の時代においても、コンシューマライゼーションと一元管理環境の対立的な関係は緩和されず、むしろ、企業による購入の最初の波が過ぎたころ、スマート・マシンによるコンシューマライゼーションの流れが一層加速することになるでしょう。

と整理しています。

ガートナーでは、スマート・マシーンについて、代表的なものとして、「Movers(移動する)」「Sages(賢者)」「Doers(行動する)」の3つに分類しています。 

・「Movers(移動する)」
グーグルなどに代表される自律走行車、自動運転車、セルフドライビングカー

・「Sages(賢者)」
個人をサポートする秘書的な機能を持つ「仮想パーソナル・アシスタント」や、適切なアドバイスをする「スマート・アドバイザー」など

・「Doers(行動する)」
人の動きを観察して行動を先読みし支援するロボットなど

スマート・マシン普及の背景には、高性能のCPUやメモリー容量を持つハードウェアであるスマートマシーンがインターネットを通じて相互につながるようになり、膨大なコンピューティングリソースをプールするクラウド上にある膨大なデータを収集・蓄積します。

その膨大なデータであるビッグデータを解析し、アルゴリズムの進化により、有益な知見や判断を導きだすことができるようになっています。

これまでAI(Artificial Intelligence:人口知能)というキーワードが何度か注目されてきましたが、ハードウェアの進化、IOTによるネットワークの相互接続性、クラウドの進展、多階層のディープ・ラーニングのモデルに代表されるようにアルゴリズムの進化、蓄積したビッグデータから確立性の高い最適解を導き出せるようになり、質量ともに大きく進化しています。

ディープ・ラーニングとは、ニューラル・ネットワークの一つで、低レベルの情報から高レベルの情報や最適解を段階的に導き出す新しい機械学習の方式になります。

スマートマシンの進化によって提供する事業者にとっては、コモディティ化した機器がインテリジェンス機能を持つことで付加価値を高めて、利益率の高い新しい商品が開発され、事業者の業績の好転にも寄与することで、経済へのインパクトも大きなものになると考えられます。

利用者にとっては、スマートマシンから日々ルーチンワークからの開放され、よりインテリジェントな活動やビジネスに活動を振り向けられるといったメリットも生まれてくるでしょう。

 

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