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ICT、クラウドコンピューティングをビジネスそして日本の力に!

クラウドビジネス再入門(2)クラウドビジネスとは?

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クラウドコンピューティングを考える上で、大きくビジネス・サービスの視点と技術・システムの視点に分かれています。今後は、ビジネス・サービス、中でもビジネスの視点が重要視されていくでしょう。

■「ビジネス・サービス」と「技術・システム」

サービスの視点では、SaaS、PaaS、IaaS、などのレイヤ別のサービスがあります。ビジネスの視点では、豊富なサービスを利用しコスト削減ともに、コアコンピタンスへの集中やビジネスモデルの変革などにつなげていくといったことがポイントとなります。

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技術の視点では、ビッグデータの処理基盤である分散処理技術や、クラウドコンピューティングのベースとなる仮想化技術などがあります。最近は、OpenStackやCloudStackに代表されるように、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアも注目されています。

■クラウドビジネス成長の背景(PEST 4の視点から)

クラウドビジネスの成長の背景をPESTフレームワークを使い、

・政治(Politics)
・経済(Economics)
・社会(Society))
・技術(Technology)

の4つの観点から外部環境を洗い出して、その影響度や変化を分析すしてみたいと思います。

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政治(Politics)

クラウドコンピューティングは、ガバメントクラウド、米連邦政府のクラウドファーストに代表されるように、クラウド関連政策に力を入れています。日本では、政府共通プラットフォームや自治体クラウド、教育・医療クラウドといったように、公共分野のクラウド化の動きも進んでいます。

経済(Economics)

クラウドビジネスは、規模の経済、範囲の経済によるビジネスモデルを展開し、コスト評価や投資対効果を踏まえ、ビジネスとして収益が得られるモデルへと展開していくことが重要となっています。クラウドビジネスの場合、自社がクラウドサービスを提供する場合は初期投資が必要となります。投資のコストを何年かけて収益化していくかが、企業の業績を大きく左右することになります。

社会(Society))

クラウドコンピューティングは、公共クラウドやコミュニティクラウドなど、社会インフラとして、社会全体の収益に還元するモデルへの転換が期待されています。大前提として、クラウドエコシステムが必要不可欠となります。クラウドエコシステムとは、クラウドをベースに多くの関係事業者やグループを集約するプラットフォームとしての役割を担い、多くの関係事業者が集まることにより、外部ネットワークとの連携効果を生み出し、新しいビジネスの機会を創出します。

技術(Technology)

クラウドコンピューティングの普及には、仮想化技術や分散技術など、様々な技術の進展があります。2008年当時のサン・マイクロシステムズのCTOパパドポラスは、巨大なデータセンターを建設し、最新の技術を駆使しても、ITの性能成長が追いつかない程市場が急速に成長「アンダーサービス」の状態にあるというコメントを残しています。クラウドの本格普及には、さらなる技術の進化が必要とされるでしょう。

■クラウドビジネスの成長性

調査会社IDC Japanは2013年5月29日、「国内クラウドサービス向けITサービス市場予測」を発表し、2017年の市場規模は2012年比3.8倍の5,793億円と予測しています。

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これらの調査資料を見ると、クラウドビジネスは、これから本格的なビジネスへと成長していく段階にあるといえるでしょう。

■「ハイプ・サイクル2012」から見るクラウド領域

調査会社のガートナーが2013年8月に発表した「Gartner Hype Cycle for Cloud Computing」によると、クラウドコンピューティングというキーワード自体は幻滅期を迎えています。

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ガートナーでは、

黎明期(Technology Trigger)  新技術への関心が高まる時期 
過度な期待のピーク期(Peak of Inflated Expectations) 期待が最も大きい時期 
幻滅期(Trough of Disillusionment) 急速に関心が失われる時期 
回復期(Slope of Enlightenment) 利点と適用方法が徐々に理解されるようになる時期 
安定期(Plateau of Productivity) 本格的な導入や採用が行われる時期

の4つの期に分けており、

過度な期待のピーク期は、

・Platform as a Service(PaaS)
・Cloud Email
・Hybrid Cloud Computing
・Cloud BPM
・Cloud Management Platform
・Big Data

黎明期は、

・Cloud Appication Development Services
・BPaaS
・IaaS+Middleware
・Cloud Services Brokerage
・Cloudbursiting
・Personal Cloud
・Private Platform as a Service
・Cloud-Optimized Application Design
・Community Cloud
・Cloud Security and Risk Standards
・MDM Solutions in the Cloud
・DevOps

などが並んでいます。

特に注目は、クラウドアプリケーションである「Cloud Appication Development Services」で、クラウドビジネスの主戦場は次第に上位レイヤへとシフトしていくでしょう。

クラウドコンピューティングでは、クラウドコンピューティングそのもののでビジネスをするのではなく、アプリケーション+クラウドといったように、クラウドを使ってどの分野をどのようにしていくかというのが差別化要因となり、収益化するための重要な要素の一つとなっていくでしょう。

 

クラウドビジネス再入門(1)改めてクラウドコンピューティングとは? 2013/07/29

クラウドビジネス再入門(2)クラウドビジネスとは? 2013/07/30

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