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ICT地域活性化懇談会の中間報告(案)から見る震災後の地域ICT利活用について

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総務省は5月31日、「第3回ICT地域活性化懇談会」を開催し、中間整理(案)を公表しました。

中間整理(案)では、東日本大震災によって、東日本の復興と日本全体の再生が喫緊の課題とし、ICTのによる地域活性化は、被災地と日本全体の再生を目指す上で重要なテーマと位置づけています。

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2.地域が抱える課題には、下の5つの課題があげられています。

(1)地域社会が抱える課題
(2)ICT利活用ニーズの把握等に関する課題
(3)人材に関する課題
(4)関係主体の連携に関する課題
(5)コスト負担に関する課題

多くの地域においては、過疎化や高齢化が進み、十分な保健・医療・福祉の提供、そして地域コミュニティや公的サービスの維持が困難になっています。また、農業や地場産業などの地域産業の低迷、人材の流出、災害時の情報伝達のあり方などがあげられており、これらの課題を解決するために、ICTが有効な手段となるのではないかとしています。

3.課題解決に向けた取り組みの方向性として、ICTによる地域活性化を推進するためには、

  • 「事業者中心から利用者中心へ」
  • 「組織中心から国民中心へ」
  • 「技術中心から人中心へ」

といったように、政策パラダイムの転換を図り、次の基本理念に基づき「効果が実感できる」ICT政策を展開すべきではないかとしています。

  1. 「地域住民本位」のICT利活用の推進
  2. 多様性を有する各地域が自ら考え実行する「地域自立型」のICT利活用の推進
  3. ICTの利活用が立ち後れている地域に焦点を当てた「底上げ型」のICT利活用の推進
  4. 地域住民、地方自治体、NPO、企業、大学、その他公的機関等の「多様な連携型」
  5. 社会的に不利な状況にある人たちに光を当てた「人に優しい」ICT利活用の推推進

これまでの国の支援策に関する評価は、

一定の効果があったものの、費用負担などから実証後の次年度の事業継続が困難となるのなどの自律性の課題、優良事例の広域展開の不足、公募機関の短さ、ハード重視・システム重視の問題などがあげられています。

今後の国の役割と支援のあり方は、

一つの地域を超えた共通的に解決すべき課題に対して国と地方が連携して取り組むことや、国による取り組みを総括し地方自治体に助言をすることを置くことや、人材支援策などによる地域のニーズを的確に実現できる支援策が重要ではないかとしています。

4.今後展開すべき具体的施策としては、

(1)地域ICT人材の育成・活用の推進

ICTによる地域活性化を主導する人材として地域の意見を集約し具現化する能力、の能力を有するリーダーとなり得る人材の育成する必要があるとし、ICTに強くない住民との橋渡し役、地域住民のリテラシーを向上させていくための仕組みの構築が必要ではないかとしています。さらには、災害時において、ICTを活用し、被災地から積極的な情報発信や、被災地での情報の円滑な入手・伝達ができるような仕組みづくりの必要性もあげています。そして、「共助」の役割を果たすことができる人材の活用、地域を超えて人材間での情報共有や意見交換できる仕組みの構築、若手をはじめ地域に対して強い思い入れを持つ人材を生み出すことに留意すべきではないかとしています。

具体的施策の方向性としては、

「ICT地域マネージャー制度(仮称)」を設け、地域におけるICT利活用を支援できる人材の育成や「住民ディレクター」のようにICTを活用して地域からの情報発信力を高めることが可能な人材育成、また、貢献のあった人材や団体を表彰するといったことが記載されています。

(2)課題解決指向の「地域自立型」の取組の推進

「地域自立型」のICT利活用を進めていくために、新しい公共」の視点に沿った「協働の場」の形成を促すことが必要であるとし、ニーズの把握に力点を置いた取組み、地域のニーズと、当該ニーズを満たすことが可能なICTサービスをマッチングさせる取組を促進すことが必要ではないかとしています。これらの取り組みを進めることで、ソフト(アプリケーション、運営ノウハウ、人材育成等)中心の取組の具体化を促進できるのではないかとしています。また、実現にあたっては、広域的な展開を可能にするために、システムのオープン化や標準化や相互接続性の確保、そしてクラウドサービスの活用をあげています。

具体的施策の方向性としては、ニーズを広く情報提供しつつ、ICTサービスを提供する事業者等との
ッチングを促進
させることやこれを地域の実情に合わせて柔軟に適合させることができる「地域クラウドモデル」の構築について、「ジャパン・クラウド・コンソーシアム」における取組を踏まえて具体化すべきではないか、としています。

(3)地域におけるICT利活用基盤整備の推進

年齢層別のデジタル・ディバイド解消する観点から、「光の道」整備推進事業等の推進、市役所・町村役場や支所等や、災害時に避難所や災害対策・支援拠点となり得る公的施設や道の駅等への無線アクセス等インターネット環境の整備、そして、地域の知的資産のデジタルアーカイブ化、分散・多重型の蓄積等の推進の必要性をあげています。

また、高齢者のICT利活用を支援する「ICTシルバープロジェクト(仮称)」として促進すべきではないかとし、震災時の復旧復興において、高齢者が情報の受発信が容易にできる仕組みの必要性をあげています。このような取り組みにおいては、「文字だけに頼らないコミュニケーションを実現する技術」や「加齢による身体機能の低下を補完する技術」、「記憶のあいまいさをフォローする技術」、そして「文字の大きさを自由に変更できる技術」等、ユニバーサルアクセスを前提としたものにするべきではないかとしています。

(4)官民情報連携の推進

東日本大震災の発災以降、被災自治体や支援する公共団体やNPO、そして国との間の情報連携に多くの課題が生じていた点が指摘されています。こういった状況の中で、情報連携を促進するためのファシリテーターとしての役割を担い、官民情報連携を積極的かつ迅速に進めるべきではないかとしています。そして、国等が保有するデータを積極的に公開し、官民連携によって新たなサービスの提供を実現する「ガバメント2.0」を積極的に推進すべきではないかとしています。

具体的施策の方向性としては、

需給情報連携、リアルタイムベースの政府情報の公開と情報の官民情報連携等の実現によって、効果的な情報共有をあげています。そのためには、データ様式の標準化、情報連携の手順の確立、各システムに実装すべき項目の共通化などの検討を進め、具現化を図る必要性をあげています。また、国及び公的機関が保有する災害関連情報、地理データ等のデータをデジタル加工しやすい形(XML、CSV等)で公表すしていくため、公開情報のリスト化、データ活用に向けた標準手続の策定等を進める必要性もあげています。

(5)様々な分野におけるICT利活用による地域活性化

その他、以下のような取り組みを推進する必要があるのではないかとしています。

  • ICTによる農林水産業の生産性向上
  • 医療・介護、災害対策等における地域の安心・安全強化
  • 医師が不足している地域における遠隔医療の推進
  • 地場産業・観光振興等の推進
  • 教育の情報化
  • 自治会活動等を通じた地域コミュニティの維持
  • テレワークの推進
  • グリーンICTによる環境にやさしいまちづくり

例えば、農林水産業にいては、農林水産業におけるデータの収集・蓄積と関係者によるこれらの共有を可能とするセンサーネットワークやクラウドサービスの活用を推進すべきではないかという点があげられています。また、ICTの利活用を進めるに当たって障壁となる制度・規制の見直しを進めていくべきで
はないかとしています。

中間整理(案)の感想

今回の整理案では、地域自立型のICT利活用が示されており、マッチングや人材育成や高齢者支援や運営手法などのソフト面が重視されていることが伺えます。また地域クラウドモデルの活用など、地域の共通基盤となる仕組み作りも示されています。公共分野においては、共通化できる部分も多く、クラウド環境が地域の社会基盤となる仕組みができることが望ましいと考えています。また、オープンガバメント2.0の推進といったように、政府の公開情報と二次利用も重要となっていくでしょう。地域でのICT利活用は、医療や教育、そして農業など、公共分野での活用が重要なポイントとなっていくと考えらます。

少し気になったのが、震災後の4月28日に開催された「第2回ICT地域活性化懇談会」で示された「基本的視点」から見ると、若干トーンダウンした感がある印象をもっています。

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中間とりまとめ(案)では、被災地復興プロセスや経済復興、コンパクトシティやグローバル展開の推進、中期的な電力需給の逼迫に対応したグリーンICTの推進などの内容が、あまり盛り込まれていなかったという印象をもっています。

いま、被災地の復旧・復興、経済復興、そして、何もより地方全体の地域再生や街づくりの再構築が求められています。ICTの活用によって、地域がどこまで活性化できるのか、少子高齢化が進み、地域の地盤沈下が進む中で、待ったなしの重要なテーマであると感じています。

 

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