スマートメーターの導入率は2020年に80%以上、スマートグリッド普及率は2030年に100%へ
環境省は3月19日(金)、「地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ検討会の全体検討会(第4回)」を開催し、地球温暖化対策に係る中長期ロードマップ(議論のたたき台)(案)を公表しました。
本件検討会では、日本政府が、中期的には温室効果ガス排出量を2020年に1990年比25%削減する目標を掲げており、中長期目標達成のためには、長期的かつ俯瞰的な視点から、いつ、どのような対策・施策を実施していくことが必要かというロードマップを社会に提示していくことが必要であるとしています。そして、専門的・技術的観点からの具体的な提案を行い、政府の検討に資するためのロードマップ(議論の たたき台)を作成することを目的としています。
本件検討会は、全体検討会の配下に分野別の「自動車WG」、「住宅・建築物WG」、「地域づくりWG」、「エネルギー供給WG」が設置されており、地球温暖化対策において幅広い分野をカバーしていると言えるでしょう。
中期目標(2020年)に向けては、現状の排出削減ポテンシャルを最大限に顕在化させていく対策・施策を実施するとし、主に
- 既存技術の大量普及
- 排出量の見える化の徹底
- 排出削減に努力する人や企業が報われる仕組みづくり
の3つをあげています。
また、長期目標(2050年)に向けては、社会の仕組みやインフラを着実に変えていくために、2050年を見据えて、今から動き出す必要がある対策・施策を実施するとし、主に
- 革新的技術の継続的な研究開発・実用化を推進する仕組みづくり
- 低炭素社会を実現するハード及びソフトインフラ整備の推進
- 人材育成・環境教育、環境金融の活性化
の3つをあげています。
全体のロードマップのとりまとめイメージは以下のとおりです。
「地域づくりWG」での新しい都市の将来像のイメージでは、副次的効果、新産業の創出の例もあげられています。街づくりのヒントがつまっているように見受けれます。
エネルギー供給分野に少し焦点をあててみましょう。
長期・中期のための主要な対策の目標では、
- 再生可能エネルギーが一次エネルギー供給に占める割合を10%以上に拡大(2020年)
- CCSの大規模実証、関連法制度等の整備(~2020年)、本格導入(2020年~)
- スマートメーターの導入率80%以上(2020年)、スマートグリッド普及率100%(2030年)
- 再生可能エネルギー導入量を1.4~1.6億kLに拡大(2050年)
- ゼロカーボン電源の実現(2050年)
の5つをあげています。
エネルギー供給~ロードマップ(エネルギー供給インフラ)~ の図をみると、先ほどの長期・中期主要な対策目標でもあげさせていただきましたが、スマートメーターは2020年に導入率80%を目指し、スマートグリッドにおいては、2030年には100%の普及率を目指しています。
スマートグリッドを今後20年間かけて、社会インフラしていくということになると、相当な産業構造の変革が必要であり、大きなビジネスチャンスと捉えるこ ともできるでしょう。中長期のスマートグリッドの関連ビジネスは、IT業界にとっても非常に魅力的な市場であり、スマートグリッドを中長期的に見た事業の再構築というのも重要となってくるのではないかと感じているところです。