不景気になるとクラウドサービスの普及が加速するという話
米国発の金融不安が世界の景気に大きな影響を及ぼしています。日本国内においても破綻する企業が増加傾向にあり、一部で銀行による貸し渋りも始まっています。
市場調査会社の米IDCは米国時間の10月20日に、IT部門の管理職やCIO(最高情報責任者)、そして、その他のビジネス・リーダーを対象に実施した「クラウド・コンピューティングの今後の展望に関する調査結果:IDC Finds Cloud Computing Entering Period of Accelerating Adoption and Poised to Capture IT Spending Growth Over the Next Five Years 」を発表しています。
米国発の経済危機等の要因により、クラウドコンピューティングの市場は今後5年間成長し、2012には、現在の3倍の420億円に達するという見通しを公表しています。420億円という金額は、2012年のIT支出全体の9%に相当するようです。
経済危機によるクラウドの導入が加速する理由は、クラウドサービスのほうが、初期コストや運用コストが格段に安価であり、景気が低迷している現状の中では、投資リスクを抑える意味では大きな注目を集めるであろうとしています。
また、クラウドコンピューティングの加速を促す要因として、経済危機以外にも以下の3点もとりあげています。
- 新興市場のBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)の中堅中小企業の成長
- 企業がIT投資することに対して十分な効果を得られないようになっている
- クラウド型のサービスやビジネスモデルを提供する事業者の影響力が大きくなっている
クラウドサービスの普及によりITベンダーがわの事業機会は2通りあり、自社でクラウド型サービスを提供することでSaaS事業やクラウド方のストレージ事業やクラウド型サーバー事業をあげています。また、クラウドサービスを提供する事業者向けの製品を提供することもあげています。クラウド型サービスが普及するようになれば、ターゲットは、次第にエンドユーザ側からクラウドサービスを提供する事業者側への移っていくことでしょう。
最後に、「クラウドサービス」と「クラウドコンピューティング」の定義をしっかり区別することが重要であると指摘しています。「クラウドサービス」はお客様に提供されるサービスとしてのクラウド、「クラウドコンピューティング」は「クラウドサービス」を提供するためのIT技術や基盤などとしています。ガートナーも同じようなことを指摘しています。先日放送されたNHKのクラウドコンピューティングに関する番組もクラウドサービスのことを意味しているのでしょう。
今後は、この辺を意識して使い分けていきたいと考えています。