キャリアコンサルタントの役割がもっと広く理解されるといいな。
キャリアコンサルタントが国家資格になったのは、2016年である。
もうかれこれ10年。
現在、8万2000人が国家資格キャリアコンサルタント名簿に名前を連ねている。
(データ→「キャリアコンサルタント登録者数」)
5年ごとに更新する資格で、一度合格すれば生涯維持できるものではない。
更新講習を受講する(一部、実務の時間を算入できる)ことで、常に、知識と技量のアップデートをしてくださいね、と言われているわけである。
名称独占資格でもあるため、国の名簿に登録していないと、国家試験に合格しても「キャリアコンサルタント」と名乗ってはいけない。罰則規定もある。
現在、たいていの企業に1人以上のキャリアコンサルタントがいて、人事や人材育成に関わる方は、真っ先に取ろうとする資格の代表格になっていると思われる。
(以前は、社労士とか中小企業診断士とか、はたまた、産業カウンセラーなどを取っていたように思う)
キャリアコンサルタントの資格を取ると、最初に考えるのは、自社内に「キャリアについて学ぶ機会」を設けたいな、ということと、従業員のキャリア相談を行いたい、ということだろうと思う。しかし、これが結構難しい。
キャリアっておいしいの?
キャリアなんて自分で考えればいいじゃない。
キャリアの相談って、別に悩んでないし。
キャリアを考えさせると辞めちゃうんじゃないの?
キャリアを考えることがどう利益につながるの?などなど。
経営者でもマネジメント層でも非マネジメント層でも、キャリアを考える意義をはじめとして、キャリアコンサルタントの役割やキャリアコンサルティングの機能、意義もなかなか理解してくれない。
なので、社内でキャリアの仕組みを導入しようとしてもかなり大変な苦労をするものである。
(ただ、最近は、「経営者が"キャリアは大事だ"と鶴の一声を発し、キャリア相談室を設けることができた」といったTOPの影響からすぐ施策が実現する、というケースも時々耳にするようになった)
先ごろ(2025年6月)に公開された厚労省「能力開発基本調査」を見ると、企業内でキャリアコンサルティングを受けることができるようにしている企業が50%になってきた。ずいぶん増えた。
半数ということは、「当たり前」になってきたということである。
ところで、である。
経営者の理解も大事なのだが、従業員一人一人の「キャリアコンサルティング」についての理解もとても大事だ。
相談したいことがない、
悩んでいない、
だから、不要、と思われがちなのだが、
相談したいことがない(=主訴なし)であっても、この変化の時代、70歳、あるいはそれ以上まで働くかもしれない長期間労働の時代において、自分がどうやって生きていけばよいか、それを考えるための伴走をしてくれるのがキャリアコンサルタントである。
あるいは、「能力開発」「新しいチャレンジ」についての情報提供とか励ましなどをしてくれるのもキャリアコンサルタントである。
自分のことくらい自分が一番よく知っている、という人がいるが、本当だろうか。
キャリアコンサルタントと会話してみることで、新たな自分について気づくとか、自分の内面にあったものを整理していくことができたりする。
まずは、キャリアコンサルタントに自分のキャリアの話をしてみる、のはどなたにとってもお勧めである。
悩みがなくても、困っていなくても、キャリアコンサルタントと1時間くらい会話すると、きっと何かを得られるはずである。
たびたび、そして、多くの方にお勧めしているのが、厚労省が無償で提供しているキャリアコンサルティング面談のサービスである。
誰でも受けることができる。本当に無償である。
ぜひ、活用してみて欲しい。
キャリアコンサルティング(無償)by厚労省の委託事業
最近、私は上記サービスを使ってキャリアコンサルティングを受けた。(今週末も2回目を受ける)
利害関係のない、他人のキャリアコンサルタントに、自分の心情を吐露し、もやもやしていることを聴いてもらい、話している内にどんどん頭の中が整理されていく経験をした。
だいたい大人になると、1時間もじっくり私の話を聴いてくれる人などいない。
じっくり話を聴いてもらえるだけでも、話す=放す、という効果がある。
すっきりするので、岩盤浴とかサウナに行くのもよいけど、キャリアコンサルティングを受けてみるのもまたおすすめである。
税金って高いなぁーとよく思うのだけれど、こういう税金事業を活用することで、税金を納めたことで得られることもあるとわかる。
だとしたら、活用しない手はない。
Voicyでこのサービスを何度も紹介しているので、リスナーさんがもう10人以上は受けたのじゃないかと思う。その流れでご自身がキャリアコンサルタント資格を取得した方も1人や2人ではない。
キャリアコンサルタントの勉強をすると、自分自身の理解も深まるので、学ぶっていうのもいいものです。資格取得もまたおすすめ。