NGNの特集記事を振り返ってみて
NTT東日本は、7月22日、NGN商用化サービス「フレッツ光ネクスト」の提供エリアを拡大することを発表しました(ニュースリリース)。発表内容によると、9月末までには東京23区のすべてをカバーし、2008年度中に17都道府県の主要都市への拡大する予定です。提供エリアが整い、サービスが出揃った2009年半ば以降に、本格的にNGNの導入が進むことが予想されます。
6月と7月の2ヶ月間、ITmediaエンタープライズの「中堅中小企業の経営基盤改革術」の中でNGNに関する記事を4回に分けて執筆させていただきました。
これまでの記事の内容を少し振り返ってみたいと思います。
第一回目は、行政サービスの視点から述べさせていただきました。世界と比べて電子政府や電子自治体の取り組みが遅れている日本。NGNの普及を契機に共通化プラットフォーム化され、安全にアクセスできるようになれば、中小企業の生産性向上にも寄与するのではないかという視点です。
第二回目は、「SaaS over NGN」というキーワードを使い、中小企業のIT化を進めていくには、企業間連携を進めていくSaaSの普及が重要あり、その普及の鍵となるのはNGNであるという点を述べさせていただきました。NGNのセキュリティや高品質、そしてオープンなインターフェイス等の機能は、SaaS基盤を支えるインフラネットワークとなるでしょう。
第三回目は、サービス提供者側の視点で述べさせていただきました。NGN上にサービス共通基盤となるSDP(Service Delivery Platform)が構築され、API連携することにより中小企業もアプリケーションを様々な端末に提供することが可能となるでしょう。そして、ビジネスモデルが垂直統合から水平統合型モデルへと転換していくことが考えられます。
最後の第四回目には、クラウドコンピューティングというキーワードを使わせていただきました。クラウドコンピューティングの実現には、アプリケーションやプラットフォーム、そしてiPhone等の端末に目が向きますが、エンタープライズ分野においてるクラウドコンピューティングの実現を考えた場合、提供が予定されているQOS機能つきのオンデマンドVPNが重要な鍵になるのではないかと考えています。
中小企業とNGNを整理して考えてみると、大企業よりも中小企業のほうが、NGNの活用範囲が広く、その恩恵を受けやすいのではないかと感じているところです。