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ブログは信頼性を高められるか?それとも信頼性を失ってしまうのか?

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44日、総務省が主催する次世代の情報セキュリティ政策に関する研究会が今後の情報セキュリティ政策のあり方についての検討状況の「中間報告書」を公表しました。

 

P2PとCGMの信頼性

次世代セキュリティ研究会の中で定義されている情報セキュリティの脅威や課題は様々ですが、少しCGM(Consumer Generated Media)の部分にフォーカスしてみたいと思います。「日本語のブログ数は世界一だが、4割はスパム」で紹介させていただいたようにブログのスパムは4割にのぼっています。また、Winny等P2Pネットワーク経由で情報漏洩の事件も後を絶ちません。

これまでブログはクチコミマーケティング等といわれ、新たなマーケティング手法として注目を浴びましたが、情報の信頼性が下がるにつれて、その効果について次第に疑問符がつけられることもあるでしょう。P2PもP2Pネットワーク実験協議会でサービスやソフトウエアに関するガイドライン等を策定していますが、Winnyからの情報流出がさらに進めばP2Pの信頼性を得ることは難しくなるでしょう。

 

信憑性の判断

次世代の情報セキュリティ政策に関する研究会の報告書の中では、P2PはCGMに関す脅威と課題について多く取り上げられています。

現状する認識課題として、

情報通信技術の高度化や利用形態の多様化が進展する状況において、管理者不在となるPP ネットワーク、消費者が様々な情報を生成し発信するCGM等のオーバーレイ・ネットワークでは、趣味・嗜好の近い利用者が集まったコミュニティを形成した情報交換等が進展し、それによるビジネス展開の期待が高まるとともに、PP ネットワークにおいては、障害等に対するロバスト性も高くなることが期待される。その一方で、利用者の判断を誤らせるような事実に反する情報が意図的・非意図的に流通する場合やフィッシング等ソーシャルエンジニアリングを駆使した詐欺等に関連する情報が流通する場合があるほか、マルウェアの感染・流通手段となること等により、利用者が不利益を被る可能性も高くなると想定され、これらのP2P ネットワーク等の利用にあたっては、利用者自身によって流通している情報や情報発信元の信憑性の判断をしなければならない場面が多く発生することになる。

そして対策の検討として、

利用者が個別に流通する情報の信頼性を判断することは極めて困難であることから、その判断を補完するものとして、利用者自身が情報発信元や情報そのものの信頼性を評価し共有できるレピュテーション機能や情報の質や信頼性を検証する技術等の実現方法について検討することが必要である

つまり、利用者自身が情報発信元や情報そのものの信頼性を評価し共有できるレピュテーション・データベースを構築し、その運営方法について実証をする必要があるとしています。

Web2.0の世界は「集合知」と呼ばれるように多くのユーザの知を結集し、Wikipediaに代表されるようにユーザによる多くの知恵を作り出してきました。そして、4月3日に発表したビデオリサーチとニフティの共同研究調査結果では、6割のユーザが「ブログを信頼できる」と答えています(関連記事)。しかし、一方で、スパムブログは増加し、信頼性の低い情報が負のスパイラルをつくり、時には社会を混乱させ、セキュリティリスクを増大させてしまうケースがあるのも事実です。

今回の次世代セキュリティの研究会で推進するレピュテーション・データベースをどのように実現するのか、定かではありませんが、いずれにしても情報の信頼性を高める方策を考えていくことは正しい方向性であることは確かであると考えています。

クチコミブログ広告市場は2010年に4倍になるのか!?」の中で述べさせていただきましたが、ブログのユーザが増え、クチコミブログ広告市場も伸びるとある研究所が発表しています。しかし、広告市場が伸びるためには、発信される情報に信頼性があることが前提となるでしょう。

そういった意味で今、ブログ等に代表されるCGMはその信頼性を失うか、高めていけるのか、その岐路に立っているのではないかと感じています。


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