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NGNで社会は変わるか?(2) --教育編

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まだまだ全貌がわかりにくいNGN。NGNが普及すると様々な環境が少なからず変化することが予想されますが、教育分野においてその恩恵を受けやすいのではないかと考えています。

 
現在、ICT教育や学校のIT化における現状認識や課題事項等について以下のことを私自身認識しています。

 

公立・私立学校等におけるIT環境と教員の指導力

2001年度から掲げた「e-Japan戦略」の中で2005年には校内LAN100%達成を目指していましたが、整備の遅れが目立っています。また、教員のパソコンは配備状況も一般企業と比べるとまだまだ遅れが見られます。また、文部科学省が公表した「教員のICT活用指導力の基準」を踏まえてICT活用指導力を高める取り組みも始まっています。

 

ICT教育と情報モラル教育

一方、児童・生徒の立場で見るとどうでしょうか? ICT教育に関して文科省の施策や様々な施策が実施されています。しかしながら、学校裏サイトやネットいじめに代表されるように、インターネットのネガティブな部分が表面化し、文部科学省や学校現場等もその対応策に頭を悩ませているのが現状です。

 
以上、大きく分けて2点の現状認識及び課題をあげさせていただきましたが、NGNが教育分野で認知されそして普及が促進されるようになれば以下のことが期待されると考えています。

 

教育プラットフォームへの期待

NGNを導入することのメリットの一つにセキュリティがあります。NGNでは「回線認証」という回線で認証する仕組みが用意されています。そのため、NGNのネットワーク上に校務情報や教務情報や学務情報等をのせて教育委員会間や学校間等のより広い範囲で情報共有をすることも可能ではないかと考えています。

 
野村総合研究所は、25日の「特集:教育におけるIT活用の新たな視点(PDF)」の中で「教育プラットフォーム」構想を提言しており、教育コンテンツだけでなく、学習履歴の管理や卒業や単位の認定など、様々なプロセスを含めたサービス全体を捉えています。

 
また、APPLIC(財団法人 全国地域情報化推進協会)においては、アプリケーション委員会の中で教育アプリケーション基本提案書(第1版)を公開しており、教育の共通プラットフォーム化について提言しています。

 
教育委員会間の連携等、NGN上のオープンなインターフェイス連携により学校SaaS的な感覚でサービス提供を受ければ、安価でかつ効率的な情報共有やプロセス改善につながることが期待されます。

 

学校裏サイトやネットいじめ対策

これまで、「学校裏サイト数はどこまで増え続けるのか?」の記事等で学校裏サイトの対策や対策等について触れさせていただきましたが、減少する動きは見られず悪化する傾向が見受けられます。その理由の一つに教育委員会や学校側が児童・生徒が自由にコミュニケーションできる環境を整えていないのが理由の一つではないかと私自身考えています。

 
インターネットと比べて安全な環境下のNGN上にコミュニケーションの場を設けて、自宅のパソコンからアクセスできる環境を整えるのも選択肢の一つであると考えています。(とは言っても携帯電話の利用が多いのかもしれませんが・・)

 

教育コンテンツの充実

NGNのサービスの中でIPTVと言われる地上デジタルテレビ放送のIP再送信が実現可能となります。今まで学校ではNHKの教育番組をビデオに録画していましたが、必要に応じて必要なコンテンツを受信することになれば、子どもたちのレベルやタイミングにあわせたコンテンツの視聴も可能になることが予想されます。

 

2000年ごろに文部科学省の“学校インターネットプロジェクト”が始まり、全国の学校に高速のインターネット回線を導入し、情報教育の充実を図ってきました。そして、今NGNという新しいネットワークが始まろうとしています。

 
NGNの普及は大企業からではなく、おそらく消費者向けの金融サービスや一般ユーザそして公共分野から導入が進むことが予想されます。そういった意味で教育要領改定や教育のあり方が問われている今、ICT教育と学校のIT化のさらなる充実を目指すためにNGNを選択肢の一つとして検討を進めていく価値はあるのではないかと感じています。

 

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